食品事業を手がけるアサヒグループ食品のフリーズドライブランド「アマノフーズ」。新規顧客の獲得を目的に2015年にウェブマガジン「アマノ食堂」を開設した。通販・ECサイト・店頭を連動させ、売上への貢献を目指す取り組みとは。
2018年10月に月間100万PVを達成した「アマノ食堂」(アサヒグループ食品)。「アマノフーズ」ブランドのフリーズドライ商品をPRするオウンドメディアだ。元々通販中心の販売であったが、スーパーマーケットなど量販店向けの商品ラインアップが増えたため、フリーズドライの認知拡大、また20~30代の新しいファンを増やす目的で2015年7月に立ち上げた。
編集長は食品事業本部 食品マーケティング部 主任の中村勇也氏が務める。既存メディアでの広告も展開していたものの、ブランドに興味のない人を振り向かせることは極めて難しく、「若者にフリーズドライの魅力を届けるためには、普段の生活の中に自然と入ってくるようなコミュニケーションが必要だと考えた」と話す。
当時はスマートフォンの占有率が急上昇した時期。日常的にスマホで見てもらえるような生活に役立つ情報発信が最適と考え、オウンドメディアの活用にたどり着いた。実際、「アマノ食堂」の閲覧媒体はスマホが9割、PCが1割となっている。
PVとトレンドの意外な関係
100万PVは立ち上げ当初からの目標だった。ある程度、社会的な影響力を持つメディアになるためには超えたい数値だ。広告を出していないため、「スタートから1年ほど、記事を書いても読まれないという苦しい状況が続いた」と中村氏。そこで、2016年からは「集客」「ファンづくり」「拡散」の3つを軸にコンテンツを見直した。
中村氏によると、まずは集客のためのSEO対策として、GoogleアナリティクスとGoogleトレンドを照らし合わせて、PV数とトレンドとの相関関係を分析。「アマノ食堂」では1年間に約200本の記事を出しているが、すべて分析して読まれる記事の傾向を探った。
例えば、「5分で砂抜きする裏ワザ!?貝専門店に聞いた『しじみ・あさり・はまぐり』砂抜きの基本」(2016年3月27日)。ハマグリが店頭に並ぶ時期を狙って公開した記事だったが、その後もなぜか4~6月の休日になるとPV数が急上昇していた。疑問に思い、Googleトレンドと見比べてみたところ、アサリの"潮干狩り需要"と連動しているのだと気がついた …