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オウンドメディア 戦略と編集術

「PESO」視点で発想する オウンドメディア活用の考え方

佐藤達郎(多摩美術大学 教授)

Paid(広告)、Owned(自社メディア)、Earned(評判の獲得)に分類した「トリプルメディア」の提唱から10年経ち、新たに「PESO」が広がっている今。企業のオウンドメディアの役割やそのコンテンツの中身は、どうあるべきか。

人々のメディア接触や情報接触、購買行動は、日々大きく変化し続けている。広告(Paid)に頼ってきた従来型から、EarnedやOwnedも組み合わせた統合型マーケティング・ソリューションへと、企業側からの発信も大きくシフトしている。そんな時代のオウンドメディア活用のあり方について、改めて考察してみた。

マスメディアの燃費が悪化

トリプルメディアは2009年5月に提唱され、英語圏では一般に「POEM(ポウム)」と呼ばれている。広告や広報の分野で、情報の送り手側から見て、メッセージを乗せる乗り物としてのメディアを「Paid」「Owned」「Earned」の3つに分類したもので、現在、広告や広報の実務家の間では、知らない者はいないほどに浸透している。

背景には、「マーケティング・メッセージの乗り物としてのマスメディア」のパワー低下がある。20世紀においてはマスメディアが、マーケティング・メッセージ露出のための、ほとんど唯一の手段だった。

ところが21世紀に入り、デジタルシフト&ソーシャルシフトが勢いを増すのに伴い、「マス広告が効かない」と言われ始める。つまり、マーケティング・メッセージの乗り物としてのマスメディア=マス広告という乗り物の"燃費悪化"が起きてくる。そうした状況で提唱されたPOEMを、大手広告会社もこぞって取り入れ、"統合型マーケティング・ソリューション"が、各社の提案のスタンダードになっていった。

なぜ「PESO」に移行したか

さて、そのようにしてPOEMは世に広まって行くわけだが、POEM提唱のちょうど1年後、2010年5月に、PESOという発展形が提唱される。POEMで「Earned(評判の獲得)」に分類される「マスメディア露出」と「消費者・生活者による口コミ・拡散」は2つに分けて考えるべきではないか、というのがPESOモデルの考え方だ。

前者は担い手が記者や番組制作者、編集者などの会社組織(Organization)であり、後者は消費者・生活者(People)だ。PESOでは、「マスメディア露出」をEarnedとし、「消費者/生活者による口コミ・拡散」はShareされたメディアなので、Shared Mediaと呼ぶ(図1)

図1 トリプルメディア(POEM)から「PESO」へ

このPOEMとPESOの議論に触発され、昨今話題のインフルエンサーマーケティング(謝礼を伴うもの)も視野に入れて筆者が考案したのが「POEM2.0」で、参考のために図2として掲載しておく。この分類に従えば、インフルエンサーマーケティングは「Paid-Peopleメディア」であり、「Owned-Peopleメディア」として"社員による発信"も視野に入れることができる。

図2 「POEM2.0」とは

筆者作成

「PESOオーダー」の視点

さて、PESOについて筆者は以前から、その"順番"に着目すること(PESOオーダー)が重要ではないかとの考えを持っている。PESOの4つを組み合わせるに当たって、その"順番"が非常に重要になる。

実際に事例を分析していくと、そこにはいくつかの"順番(オーダー)の型"が見て取れる。例えば、世界最高峰の広告・広報の祭典である「カンヌライオンズ」の話題作についてPESOオーダーを見てみよう(図3)。OSEP型やPOSE型が現代の統合型マーケティング・ソリューションのスタンダードとなっていることが分かる。そしてその他のタイプも、起点は、O(Owned)かP(Paid)のいずれかだ …

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