興味のない人にも冷凍食品に親しんでもらうことを目的に開設し、2018年7月にリニューアルしたニチレイフーズの「ほほえみごはん」。コンセプトから見直したことで、PV数が5.7倍に跳ね上がった。
冷凍食品大手のニチレイ。そのグループ会社であり、加工食品事業を手がけるニチレイフーズは、冷凍食品業界のリーディングカンパニーとして冷凍食品への親しみを醸成するためのオウンドメディア「ほほえみごはん」(2016年6月開設)を運営している。
冷凍食品の未利用者に訴求
開設のきっかけは2015年に生活者5000人を対象に実施した自主調査。冷凍食品の未利用者が約4割に上ることが分かり、この潜在層にアプローチしたいという想いがあった。
経営企画部 広報グループ マネジャーの渡辺千春氏は、その手段としてオウンドメディアを選んだ理由について、「これまで商品や広告を通じてニチレイブランドを発信してきたが、これ以上は顧客のすそ野が広がっていかないのでは、という課題があった」と話す。
そもそも冷凍食品に興味のない人は商品を手に取らないし、広告のメッセージも響きにくい。ただ、「食」そのものに興味のない人は少ないのでは、と考えたのだ。
そこで、共働きで子どもを持つ家庭の母親をメインターゲットに、「毎日の食卓を"おいしく" "たのしく"彩り、"おなか"も"こころ"も満たしてくれるような情報を届けるメディア」として、「ほほえみごはん」を立ち上げた。立ち上げ当初は、商品やサービスに直接関係のある記事ではなく、食にまつわる悩みや疑問を解決する記事を1週間に1本ペースで発信していた。
しかし、約2年運用したところ、コーポレートサイトとの連携が難しいという課題や、専門性が高い内容だけに書き手の記事制作スキルの問題が浮き彫りになった。そのため、制作会社を改めて選定し、大幅なリニューアルに踏み切った。
DATA | |
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開設 | 2016年6月(2018年7月リニューアル) |
所管部署(うち担当者数) | 経営企画部 広報グループ(1人) |
編集長 | 渡辺千春氏 |
コンセプト | 冷凍で食を豊かに |
編集体制 | 企画から執筆まで、制作会社とともに進行。企画会議は月に1回。 |
更新頻度 | 12本/月 |
記事の「量」と「質」を追求
2018年7月にローンチしたリニューアル版は、生活の多様化に合わせてターゲットの幅を広げ、一人暮らしの人や専業主婦、子どもが手離れした後に復職した女性なども意識。コンセプトは「冷凍で食を豊かに」に変更した(図1)。目指すのは、冷凍と冷凍食品で食生活を賢く豊かにする、「忙しい人のために、コンパクトで効率的に情報を届ける『食』のライフハックメディア」だ …