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徳島県阿南市が野球スタジアムで町おこし、快音響く「草野球の聖地」へ

「野球のまちおこし」を推進する徳島県阿南市。観光商品を企画し全国から草野球チームを誘致するなど、地域の強みを活かし、市のPRと活性化に成功している。

「JAアグリあなんスタジアム」での還暦野球大会。
草野球に焦点を絞った誘致で、阿南市はブランド形成に成功

「野球でまちおこし」というと、プロ野球のキャンプや公式試合の誘致を考えがちだが、阿南市が取り組む「野球のまち推進事業」は実にユニーク。草野球の誘致に焦点を絞っている。「JAアグリあなんスタジアムが2007年に完成したとき、施設をフル活用し、野球でまちおこしをできないかと考えました」と話すのは阿南市・野球のまち推進監の田上重之氏だ。

「プロ野球誘致は、プロの仕様に合わせた球場のメンテナンスなど、支出がかかる割に滞在期間が短くて収益が見込めません。それが草野球であれば、様々なチームが一年を通して訪れてくれます」。選手を観光客としてもてなせば、地域経済が潤うと予測した。

スタジアム竣工直後の2008年には、「西日本生涯還暦野球大会」を誘致。選手400人が集まった大会の模様は地元メディアで取り上げられ、「野球のまち」の取り組みは市内に知れ渡った。

2009年11月からは、独自に企画した野球観光ツアーをスタートした。ツアー客には、阿南市で用意した対戦相手とスタジアムで2試合を開催。バッターボックスへ入るときには電光掲示板に選手の名前が表示され、プロ野球さながらウグイス嬢が選手の名前を呼ぶ。夜には交流会として宴席を用意し、翌日には観光地巡りと阿波おどりを楽しむ。中高年に向けて至れり尽くせりの内容だ。田上氏は「ツアーを体験した選手で、喜ばなかった人はいない」と胸を張る。

地元市民の自発的な協力も大きい。中でも注目は、60歳以上の女性たちからなる私設応援団「ABO60」だろう。その存在は阿南市のシンボルとなっており、テレビの全国放送でも取り上げられ話題をさらうほど。官民が一体となってまちおこしに取り組んでいる象徴的な姿がそこにはある。

(上から)60歳以上の女性で構成するチアリーディング「ABO60」。
2015年春の選抜で優勝の敦賀気比高校も阿南市で合宿を行った。
また、「野球のまち推進課」では野球のグッズを数多く展示。

 

阿南市 野球のまち推進監
田上重之氏(たがみ・しげゆき)

1952年阿南市生まれ。富岡西高等学校卒業後、阿南市役所に就職。2010年の野球のまち推進課初代課長、13年から野球のまち推進監。草野球は40年以上の趣味。

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