あの不祥事は、なぜあれほど世間から批判されたのか─?顧客情報漏えいからフードテロ、取引先・子会社の不祥事まで、2014年の危機管理広報の誤りを専門家と振り返りながら、広報の視点で会社を守り、評判を高めるためのポイントを徹底解説します。
弁護士ドットコム編集長 亀松太郎氏はこう見る
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囲み取材での会長の発言が炎上
7月31日、ゼンショーホールディングス・小川賢太郎会長の記者会見は、深夜の過重労働など「すき家」の労働環境に関する第三者委員会が調査結果報告書をまとめたタイミングで開催された。報告書では、労働環境に関して、ゼンショーとしての適切な対応を求めるものだった。小川会長は、分社化や労務管理体制の強化といった改善案を提示したが、記者会見ではそもそもなぜこうした事態を引き起こしたか、という質問が当然出てくる。
これに対し、小川会長は「成功体験を自分の中に持っている幹部の意識を自分が変えることができなかった」と、まるで他人ごとのように発言。また、当然責任が取りざたされているので、記者会見では会長の進退に関する質問は必ず出てくる。これについて、会長は「むしろ自分がトップとして新しく体制を立て直すこと自身が自分の責任だ」と発言した。会見を通じて小川会長自身の責任が明確に語られず、責任逃れのように見えた。また、会見後の囲み取材で「ブラック企業といわれて従業員も悔しい思いをしている。レッテル貼りはやめていただきたい」と発言し、大きな反響を呼んだ。
反論したい部分があるのは理解できる。しかし、会見の性格上、反省している姿を見せるべき。「やはり反省していなかったのか」と捉えられても仕方がない。広報がきちんとコントロールし、会長に会見の趣旨を理解させるべきだった。