企業やブランドの持つメッセージや世界観を伝える手段として重要な役割を担うブランドツール。一口にブランドツールと言えど、目的によってその種類や手法もさまざま。特にグローバル規模で展開する企業やブランドが用いるブランドツールは緻密なコミュニケーション設計がなされ、ツールを用いた情報発信の仕方も多岐に渡る。グローバル企業が消費者との接点として用いるブランドツールはどのようなもので、そこにはどんな意図や背景があるのか。ひとつひとつのツールをもとに掘り下げる。

"Make People Happy"を体現するのは従業員
「歌って踊るアイスクリームショップ」と、上陸時には多くの注目を集めた。店舗前には1日1000人以上が列を作り、1時間待ちという状態も。マイナス9℃の石(コールド・ストーン)の上でアイスを混ぜるスタイルが名前の由来。根強い人気を支えるのは、歌と踊りで笑顔を広げる従業員だ。
2005年に日本上陸して9年目を迎えるアメリカ発のアイスクリームショップ「コールド・ストーン・クリーマリー」。マイナス9℃に冷やした石の上で、来店客のオーダーを受けてからアイスクリームとミックスイン(フルーツ・ナッツなど)を混ぜ合わせる同店の最大のブランドツールは、"歌"。従業員が歌を歌ったり時に踊ったりしながらアイスクリームをつくるスタイルが特徴だ。"エンターテインメントアイスショップ"をコンセプトに掲げるだけあり、店舗には明るく元気な従業員が揃い、音楽が溢れている。
"歌って踊れる"従業員の採用方法も一風変わったスタイル。3~4時間かけて行われるグループ面接では、面接会場で他の応募者とチームを組んでオリジナルソングを作ったり、ゲームや劇をしたりしながら周りを楽しませるセンスが試される。そのため、採用試験は「面接」ではなく「オーディション」と呼ばれている。「オーディションで見ているのは、人を幸せにすることが好きか、そしてグループ活動に向いているかどうかという点。一方的に応募者に話してもらって終わりというスタイルではなく、時間をかけてしっかりとコミュニケーションを取るようにしています」(コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパン 広報担当)。