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時事ニュースから読み解く、危機対応の本質

川崎重工業社長解任クーデターに学ぶ、危険が伴う「リーク」に要注意

城島明彦(作家・ジャーナリスト)

危機を乗り越えるための対応方法は、世間を賑わせる時事ニュースの中から学べる点が多くある。
取材される側と取材する側の両方を経験し、広報業界を30年以上見続けてきた作家・ジャーナリストが、危機対応の本質について解説する。

社内抗争でクーデター発生

川崎重工業(以下、川重)の「社長解任クーデター事件」は、各種メディアで大きく取り扱われたが、広報のあり方についても大きな教訓を残した。

この事件を知ったとき、30年以上も昔に三越で起きた事件が頭をかすめた。当時の三越社長の岡田茂が会社を私物化、"女帝"と呼ばれる愛人が経営にまで首を突っ込んでいたが、「古代ペルシャ秘宝展」の展示品のほとんどが偽物と判明する事件が明るみに出たのを契機に、役員たちに解任された事件だ。そのとき、三越の社長が発した「なぜだ!?」という言葉は有名で、「周囲が見えていなかった」という証拠でもある。

その手の企業の広報は、社長の意向に沿った〝虚飾に満ちたプレスリリース〟を発表し続けるわけで、「悪のお先棒を担いでいる」のと同じだ。広報は企業全体を客観的に眺めるべき役割なのだから、悪を正す気概や行動を起こす勇気がないといけない。

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