2023年6月6日、第15回「販促会議 企画コンペティション」(以下、「販促コンペ」)の応募が締め切りになった。集まった企画を見てわかったことは、金沢工業大学の情報フロンティア学部 心理科学科からの応募が多数あったことだ。同学科はなぜ、「販促コンペ」に取り組んだのか。授業に実際に導入した、渡邊伸行氏と田中孝治氏に聞いた。
取り組んだのは心理学を学ぶ大学2年生
──「販促コンペ」の募集期間が終わって、この金沢工業大学の情報フロンティア学部 心理科学科から多数の応募があったことがわかりました。具体的に、どのような領域を学ぶ学科なのでしょうか。
渡邊:工業大学に心理学科があるのは珍しいですよね。ですが、結局モノを利用するのは人間なんですよ。開発された商品はその後、人が使うという視点に立ったときに、心理学が役立つのではないかと考えのもと設立されたのが当学科です。つまり、モノをつくったり、人に何かを伝える際に、ユーザーの立場を理解しようと試みる心理学を用いたら、もっと効果的なものになるのではないか、という考えをもって学んでいる学科なんです。
田中:工業大学で心理学を学ぶ学生から応募されているとわかったときは、意外だと思われたかもしれませんが、「ユーザー視点」や「態度変容を促す」企画をつくるという面から考えると、「販促コンペ」との親和性が高い学科だと思います。
──たしかに親和性は高そうですが、「販促コンペ」を見つけたきっかけは何だったのでしょうか。
田中:当大学では、「プロジェクトデザイン」という授業を全学部共通で行っています。この授業の目的は、問題発見から解決にいたる過程・方法をチームで実践しながら学ぶこと。金沢工業大学オリジナルの教育として、毎年次必修で学ぶものです。今回「販促コンペ」を活用したのがこの授業。心理科学科2年生の学生を対象に実施しました。「実践しながら学ぶ」という授業の特性もあり、学生の成長に寄与できるようなコンペや公募は以前から探していたんです。その中で出会ったのが「販促コンペ」。授業への導入は今年が初めての試みでした。
渡邊:「販促コンペ」は、学生のキャリアデザインの観点からもとても有意義だと思っています。というのも、今回の授業の対象である2年生の学生に今後の希望進路をヒアリングしたところ、商品開発や企画開発に興味がある学生が多いことがわかったんです。モノをつくる開発者側のセンスではなく、ユーザーが何を求めているのか、利用するとどのような気持ちになるのかなど、さまざまな観点から心理学を学んでいるので、その学びを将来にも活かしたいという思いが強いようです。
しかし、学生のうちから企業のキャンペーン企画を考える機会は...