お米の販売・卸・飲食事業を展開している八代目儀兵衛(京都)。2006年よりECでの販売を行ってきた。ギフト需要など、その狙いを聞いた。
お米の魅力を知ってもらう
──お米の日本市場はどのような状況なのでしょうか。
全体的にはお米離れが進んでいます。総務省の家計調査によると、消費金額は2013年以降パンに負け続けています。そのため新規就農者も減り、つくり手も消費量も減っている。
1787年から続くお米屋としての八代目儀兵衛はそのような状況に危機感を覚えて、本当においしく甘いお米を一人でも多くの人に伝えるために、お米の「つくる」「食べる」「買う」を見直し、今までのお米の価値観を変える取り組みをしています。通販、飲食、卸などの事業を行っています。
──お米をECで扱っています。どのように販売しているのでしょうか。
従来、お米屋はその地域でしか売らないものでしたが、当社は、全国から目利きして仕入れて、単一でも美味しいものをブレンドして、さらに美味しさを際立たせて販売しています。地方はまだまだこれからですが、東京、大阪、福岡など首都圏を中心にご購入いただいている状況です。
通販事業は、味にこだわった美味しいお米は年齢など関係なく誰でももらったら嬉しいものだという仮説から始まっています。アレルギーもあまりなく、ギフトと相性が良いので、ECを通じたギフト用の販売を行っています。売上としても、ギフト用が8割、自宅用が2割程度になっています。
サイトも、出産、結婚、引出物、新築、快気祝い、法人ギフトなど、目的に応じた選択ができるようにそろえています。
看板商品は「十二単・満開」です。箱の中に12色の風呂敷で個包装したお米が入っており、和食や洋食、酢飯に合うなど、様々なお米を選んでいます。さらにそれぞれのお米を包む風呂敷は手作業。職人技で手間がかかっていて、他社が簡単に真似することができません。この手間がかかっていることが、お祝い事のギフトに喜ばれます。
また最近のヒット商品で言うと、「しおくり米」です。離れて暮らす親子間のコミュニケーションをつくろうと開発しました。親子間ではLINEなどで連絡をとっている状況はあると思いますが、他にメッセージを伝える手段がありません。そこで、お米をコミュニケーションツールとして、子から親には、孫の写真を掲載できる近況報告カレンダーを入れられ、親から子には手紙を添えることができます。新型コロナによって実家に帰られなかったこともあり、好評いただいています。
このように、産地や銘柄だけで販売するのではなく、目的に応じてギフトの形を変えて、お米を販売しています。
商品
ECサイト
マナーをチェックするサービス
──ECならではのサービスや、工夫されている点はありますでしょうか。
まず単純なところで言うと、お米は重いので、配送されるネット通販との相性は良いと思います。コロナ禍によって自宅需要が増え、ネットでの購入も進んでいるように感じます。