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ECで巣ごもり消費にどう切り込む?

ECとD2Cはどう違う? 顧客とつながる事業モデル

奥谷孝司(顧客時間 共同CEO 取締役/オイシックス・ラ・大地 執行役員・COCO)

話題に上がることが多くなったD2C。ECで顧客と直接つながることとどう違うのか。自社のみならず多くの企業の支援も行う著者が解説する。

コロナ禍において皆さんのビジネスはいかがでしょうか?Work from homeやオンライン会議、Uber Eatsに代表されるように暮らしのデジタルシフトが進み、多くのビジネスにおいてお客さまとのデジタルなつながりが当たり前になってきました。そのような環境の中、多くの企業がECやD2C(Direct to Customer)への取り組みに興味をお持ちのようです。

しかし、お客さまとのつながりをデジタル化すればビジネスがうまく行くわけではないようです。例えばアパレル企業が10年以上前からEC事業に取り組んでいますが、これらの多くの企業が今苦境に陥っていることは周知の事実でしょう。

この現実は、消費行動の90%近くを占める店舗売上に日本の小売業が依存してきたことを示しています。コロナ以前は所与として与えられていた集客要因であるリアルなタッチポイント。お店を開ければお客さまがくるという現実がわずかに欠けることが如何に企業の売上に、そしてお客さまとの関係に影響を与えているか。今まさに我々はニューノーマルな時代のお客さまとのつながり方を考える必要に迫られています。

真のお客さまとのつながりを構築するには

これまで多くの小売業はリアルを前提にビジネスを展開してきました。しかし、その恵まれた環境にあったように思える企業とお客さまとのつながりは脆弱なものであったように思います。だからこそ、我々はお客さまとの真のつながりをオンラインとオフラインを融合させてつくることに挑戦しなくてはなりません。この挑戦の一助となり得ると思われるのがD2Cというビジネスモデルです。

そこで、この原稿においては、ECとD2Cの違いについて、筆者の著書『世界最先端のマーケティング 顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略』にあるEngagement 4Pフレームワークをもとに解説を行い、ECを超えた真のつながりの構築に必要なデジタル活用について考えていきたいと思います。

ECとD2Cは何が違う?

D2Cの定義は様々ありますが、Wikipediaを確認してみると、「メーカーが自社で企画・製造した商品を、自社のECサイトを用いて直接消費者に販売する仕組みのこと。直接販売のひとつ」との解説があります。しかし、この定義に従うとメーカーが自社ECサイトで製造商品を販売すればそれはすべてD2Cということになってしまいます。無印良品やユニクロはD2Cなのでしょうか? これはみなさんが注目しているD2Cではないと思いますし、単にオンラインチャネルがお客さまと直接つながる通販でしかありません。

また、小生がアメリカのカンファレンスで聞いたD2Cブランドに関する講演においては、彼らは①Category Disruptor(市場の破壊者)であり、②Mobile/App native(モバイルやアプリの活用方法に精通している)、③Marketing is Growth(マーケティングがブランドの成長源)という3つの特徴を有していると解説されていました。

これはあくまで定義ではなく特徴ということですが、この観点はD2Cビジネスの成功に求められる要素として一理あるものの、どちらかというとベンチャー企業が取り組むD2Cブランドが有する特徴のように思います。

このような状況を踏まえ、私はお客さまがD2CブランドとECを使う理由に関して、これら2つが提供する価値をマーケティングの4Pから考察してみました。図1にそのまとめを記載していますので、ここからはこの表について解説していきます。

図1 ECとD2Cの比較

この表は5つの視点からECとD2Cを比較しています。まず1点目としてつながる理由(Engagement Reason)について考えてみましょう。ECを使う理由とは、基本、利便性や情報探索、比較購買機能になると思います。一方でD2Cにおけるつながる理由はECと同じではAmazonや楽天には勝てないと思います。

例えば日本におけるD2Cブランドの好事例といえる新しいおやつ体験の創造を目指すsnaq.me(スナックミー)は、様々な自然由来のスナックを食べきりサイズでお届けし、月に1回または2回の定期購買で販売を行っています。単にお菓子を買いたいだけならば、店舗はもちろんECで比較購買したほうが良いわけです。しかしsnaq.meは商品へのこだわりやフードロスへの取り組みといった社会貢献的側面や、健康へのこだわりを訴求しています。

つまりソーシャル・グッドな企業姿勢と、その取り組みへのお客さまからの共感がD2Cには求められていると言えます。

2点目につながる場所と方法について考察してみると、ECは単純な購買チャネルといえるでしょう。一方でD2C事業は、ブランドやサービスによって違いはありますが、デジタルでつながれる場所、接点すべてを整備する必要があると思います。

例えばsnaq.meで言えばLINEをお客さまとのつながりに活用していますが、お菓子への評価ができる仕組みを通して相互性のあるコミュニケーションを行い、CRMプログラムを運用しています。またYAMAPという登山アプリにおいてはヤマッパーと呼ばれるユーザーが集まるオフ会、コミュニティも重要な場であり、このつながりはYAMAPアプリを利用しているから生まれるオフラインタッチポイントと言えます。

つまり...

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