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未来のスーパーマーケット

土用の丑の日にみる 目玉商品の代打戦略

目玉商品の価格が高騰したとき、売り場の集客をどのように実現するか。その対応策として、2018年の土用の丑の日商戦が参考になりそうだ。スーパー各社はウナギが高騰するなか、別の原料を使ってウナギのかば焼きを模した代替品の販売に注力。集客に成功し、代替品の売り上げも増やしている。

イオン、セブン&アイが売り上げ伸ばす

2018年の土用の丑の日商戦はウナギの高値で苦戦が予想されていた。かば焼き製品の小売価格は「前年同期に比べて1割高」(セブン&アイ・ホールディングス)。

「これほど高いウナギに人は集まるのか」─不安に感じた多くのスーパーはウナギのかば焼き風に製造されたかまぼこやサーモン、サンマ、サバ、豚バラ肉、豆腐といった、さまざまな原料によるかば焼き製品を、例年より幅広く展開した。

代替品の販売結果は、商品によって明暗が分かれたものの、イオンとセブン&アイHDの大手量販店2社では、18年の土用の丑の日商戦時における代替品カテゴリーの売上高が、前年同期を上回った。

販売好調の理由として、価格が高水準だったウナギのかば焼きの需要が代替品にシフトしたことが考えられる。それに加え、セブン&アイHDは「『土用の丑の日はウナギ以外でも良い」という考え方が定着してきているためでは」と分析する。

スーパーが代替品に期待するのは、単にウナギのかば焼きが落とした売り上げの穴を埋めることだけではなさそうだ。

土用の丑の日において、ウナギのかば焼きは来店者の大きな来店動機。「ことしはウナギが高いから」と来店を控えられると、スーパーにとっては大きなチャンスロスになる。「代替品でも土用の丑の日であることを実感したい」というニーズが増えれば、スーパーは来店者数を減らさずに済む。

実際、イオンは代替品を展開した理由のひとつとして、来店者数の確保を挙げる。「代替品が寄与したのか、2018年はしっかり集客できた。客数は前年から減っていない」(イオン)

減り続ける国産ウナギの国内供給量
出典:農林水産省「漁業・養殖業生産統計年報」及び財務省「貿易統計」
※天然、養殖物の合算値


ウナギのかば焼きの市場規模
※出典=富士経済

「本家」の供給 今後も不安定か

今後、ウナギの供給状況が大幅に回復する見込みは薄い。スーパーの売り場に並ぶウナギはほとんどが養殖物だが、完全養殖ではなく、天然のウナギの稚魚を半年から1年半かけて育て、出荷する …

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