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未来のスーパーマーケット

AIロボットやシステムも 人材不足追い風にIT開発進む

流通業界の人手不足は深刻だ。経済産業省が2018年8月に行った「労働経済動向調査」では、卸・小売企業の45%がパートタイマー不足、32%が正社員不足と回答。2017年8月よりそれぞれ5ポイント、9ポイント上昇した。こうした問題を背景に、IT企業は店員の作業負担を削減するシステムや機器の開発に熱心だ。

閉店後にPOPの期限切れがないかをチェックするAIロボット。日本ユニシスとユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスが共同で開発した。11月5日から東京都内にある「フードスクエアカスミ オリナス錦糸町店」で常用運用を始めている。

パート時給上昇 利益圧迫の原因に

スーパーマーケットはパートタイマーを獲得しようと、賃金水準を高めている。リクルートジョブズの調べでは、首都圏・東海・関西の三大都市圏(1都2府11県)におけるレジパートタイマーの平均時給は、2018年10月で987円。2012年7月の調査開始以来、最高価格となっている。特に首都圏ではレジパートタイマーの平均時給が1030円と、大台に乗った。

その分、スーパーマーケットの人件費はかさむ。前期や、今期の直近の決算短信を見ると、スーパー大手の多くが販管費を増やしており、利益面を圧迫している。

今後、労働人口が減ることが確実視される中、店舗作業の省力化につながる機器やシステムを開発し、流通企業への事業拡大をねらうIT企業が目立つ。

USMHでAIロボ 期限切れPOPを管理

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)は2018年11月5日から、東京都内の「フードスクエアカスミ オリナス錦糸町店」で、表示期限を過ぎたPOPがないかを確認するAI(人工知能)ロボットの常用運用を始めた。

日本ユニシスによると、国内のスーパーマーケットで自律走行・自動写真撮影、画像解析が可能なAIロボットが本格的に運用されるのは今回が初めて。

このロボットは自律走行しながら、商品棚を撮影し、解析する。センサーで障害物を見つけ、商品棚を照らしながら撮影できるため、無人かつ閉店後の暗いの店内でも活用できる。期限切れのPOPを見つけると、AIロボットが店員にさしかえる必要があることを知らせる。

POPの期限の確認は毎日行われるもので、AIロボットがこの作業を代われば、店員の負担は軽減される。「確認精度は9割以上にまで向上している」(ロボットの開発元である日本ユニシス)。

2019年春には、表示価格とマスタ価格のチェック機能や、商品棚にどの商品が陳列されているかをデータ化する機能を追加し、商品化する予定としている。

来客数予測システム 小売店も商談開始

1日あたり、どれだけの人が来店するかを予測するシステムも開発されている。

小規模飲食店向けに「来客予測AI」を開発するEBILAB(三重・伊勢)は2018年12月、データベース監査市場の国内最大手であるインサイトテクノロジー(東京・渋谷)を通じ、大規模事業者向けの「来客予測AI」の提供を始めた …

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