店はどうあるべきか。どの企業も頭を悩ませる点だ。ライフコーポレーションはめざすべき姿を示した「ライフらしさ宣言」を策定。「おいしい」という機能価値に加え、「ワクワク」「ハッピー」という体験価値を提供すべく、店舗改革を急ピッチで進める。その一翼を担う目黒浩氏に話を聞いた。

Point 1 店の何を魅力と感じるかは人それぞれ。さまざまな施策を打つ
Point 2 まずは動画メディアによるレシピ提案を急速に進める
Point 3 経験価値のいち要素である店内BGMも2018年8月から刷新
──ライフコーポレーションの現状の課題を教えてください。
ライフコーポレーションは2018年2月期で営業収益が6777億円。スーパーマーケット業界の中で指折りの規模を誇るとの見方もありますが、立ち振る舞いの難しい大きさとも言えます。スケールメリットで勝負するにしても、商品のおいしさや鮮度などの「機能価値」を突き詰めるにしても、他社と差をつけるのはそう簡単なことではないでしょう。
そこで、当社は「機能価値」に加え、お客さまが「ワクワク」や「ハッピー」といった情緒面での価値を感じられる店にすることで、顧客満足度を高めようと考えています。実店舗を持つわれわれとしては、店舗でしか体験できない価値を高めていくことがEコマースへの対抗策にもなるし、他店との差別化につながると考えたのです。
これを確実に実行すべく、2018年度~2021年度中期経営計画の中で、「ライフらしさ宣言」としてめざすべき姿を明文化し、決意表明しました。
とはいえ、「ワクワク」や「ハッピー」は非常に抽象的なもので、何が「ワクワク」や「ハッピー」に相当するかは、人それぞれです。しかし、実店舗に行くと確かに感じるときがあります。何をすればいいかという正解はありませんが、さまざまな施策を通じて、「心地のいい」「ほっとする」「楽しい」店舗づくりに努めていきたいと思います。
──具体的には、どのような施策を考えていますか。
大きな取り組みとして挙げられるのが、レシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」を運営するエブリーとの協業です。2018年10月に協業を本格化させると発表しましたが、12月7日時点ですでに首都圏店舗の3分の1に「DELISH KITCHEN」のデジタルサイネージを導入しました。2019年2月末までには全国店舗(2018年12月末時点で271店)への導入が完了する見通しです。
「DELISH KITCHEN」では店舗が重点的にお客さまに提案したい食材を使った料理の作り方やレシピなどを、映像とともに配信しています。映像内に出てくる二次元バーコードをスマートフォンでスキャンすれば、流れているメニューのレシピページに飛びます。
「DELISH KITCHEN」は首都圏であれば、青果、鮮魚、精肉、日配品の4つの売り場に加え、レジ前かレストスペースの計5カ所で展開しています。
それぞれの場で「きょうのメニューを何にするか」に悩む人の一助になると期待しています …