食品売り場の磨き方が生き残りのカギ
業態を超えた競争で苦戦を強いられているスーパーマーケット業界。いかにコンビニエンスストアやドラッグストアなどのライバルに勝つか。サミットの社員時代にデジタルサイネージや試食専用カウンターなど、業界に先駆けて先進的な取り組みを行ってきた田尻一オール日本スーパーマーケット協会会長に現状の課題や今後の展望を聞いた。
シンガポールの新興企業、honestbee(オネストビー、東京・江東)は同国や日本などを中心に、消費者の代わりに店舗へ出向き、買い物をするサービスを展開している。数々のスーパーマーケットと提携を結び、2018年10月18日には直営店もオープン。クリスティーナ・リム副社長兼CMOが、同国や日本における小売業界の現状や今後について解説する。
シンガポールの新興企業、honestbeeがオープンした次世代型店舗「ハビタット」のイートインスペース。完全自動レジやグローサラント業態を採用し、消費者がリアル店舗に何を望むかを模索する。
シンガポールにとって食品小売は最も成熟した市場のひとつで、激しい競争のなかにある。また、シンガポールは開発まっただなかにあるため、食品小売の市場は、消費者に豊富な製品を提供すべく、仕入れの多くを輸入製品に依存しているのが現状だ。複数の宗教と民族がいるシンガポールならではの環境と言える。
他方、日本は強力なローカルスーパーが多くある。また、日本は食料品の配達において長い歴史を持っており、ネット専業スーパーへ10年以上も農産物を販売する事業者も多くいる。それぞれの地域で市場を占有しているスーパーマーケットがあるのが日本の特徴で、それは良くも悪くも古風だ。
シンガポールの食料品宅配は対照的に、比較産業が新しいが、巨大な成長をとげている。Eコマースも、小売市場全体でみると比率は低いものの、売り上げを急速に伸ばしている。
ほとんどのスーパーマーケットは「Eコマースは購入手段として定着する」「Eコマースを導入しなければ、長期的にビジネスへ悪影響を与える可能性が高い」とみている。いくつかの小売チェーンは自社でオンライン宅配アプリを立ち上げたり、Eコマース事業者と協業したりして、売り上げを伸ばそうとしている …