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販促予算 「何に」「いくら」「どう使う」

広報予算をどう獲得するか

「お金がかからない」という誤解がはびこっている広報活動。ミッションや成果を規定し、予算を獲得するにはどうすればいいか。旧キヤノン販売でゼロから広報部門を立ち上げた、藤森元之氏が当時を振り返る。

「広報部門の存在感を示すには、自発的に、山ほどアウトプットすることが必要」と藤森元之氏は語る。

─キヤノン販売(現=キヤノンマーケティングジャパン)で広報部門を立ち上げた際のエピソードを教えてください。

当初は、広報は社内でも相手にされない状態でした。新製品の発表の時だけでいいと。商品を打ち出す際は、宣伝や販促が集まり、決済権者らがお金を配分する会議で、「広報に予算は関係ないだろう」「金がいらないのが広報だ」なんて言われ、無視されていたのです。

活動も期待されないので、お金が配分されない。プレスリリースの発表日をいつにするかを決めるまでは、会議に呼ぶ必要もないといった状態でした。

挫折の連続でしたが、乗り越えなければ話になりません。弱気を振り払い、「どんな会議にも広報担当者が出席しなければ、回らないようにならねば」と自らを鼓舞していました。まずは社内各部署に「広報というのは役に立つ」というふうに関係をつくることからはじめました。

例えば決算短信のカラー化です。経理部の扱いで証券会社に委託していたのですが、当時はモノクロで印刷・配布していたわけです。「広報と共同で制作しましょう」と持ち掛けました。「株主が見て楽しいようにエピソードをたくさん、写真をふんだんに盛り込んだ報告書」とコンセプトを決め、制作しました。

株主の評判はよく、翌年、経理部から「また頼めないだろうか」と話が来ました。

次は人事部です。「採用パンフレットを会社案内に沿って作りましょう」と持ちかけました。

当時の募集要項は外注で、表面的な自社紹介と製品ばかり載っていて、私はそれに違和感を抱いていました。「キヤノン販売は、販売力の会社だ」という思いがあったからです。そこで人物をベースにした要項に作り変えました。

これも人事に喜ばれ、応募も増えました。やはり翌年に、「また手伝ってもらえないか」─そうやって、社内との共同作業が増えていきました。

決算短信のカラー化にせよ、「モノからコトへ」を打ち出した募集要項にせよ、どちらも大切なのは「こんな会社になりたい」というビジョンを企業活動の細部まで言語化するスキルがあることです。

企業広報は発足当初、社内の情報発信の“下請け”から始まります。経営方針や人事異動にはじまり、機構改革や決算、設備の新設やM&Aなど。「アレを出して」「コレを出して」と、言われるままです。

でも、これでは面白くない。広報部門の存在感を示すには、自発的に、山ほどアウトプットすることが必要です。発信しなければ誰も認めてくれません。広報自身がビジョンを掲げ、コンテンツを作り、発信することが重要なのです。

広報予算の増減(前年度比)
経済広報センターが3年ごとに、企業を対象に実施している調査結果。広報活動への予算増減の状況について前年度比で尋ねたもの。やや増加傾向が伺える。

─予算を獲得するには、成果の規定が必要です。まず、広報のミッションは、どのように規定すればいいでしょうか。

企業の経営資源には「ヒト・モノ・カネ・情報」の四つが挙げられ、それぞれ管理する部署─人事や総務、経理があります。「情報」が経営資源の一つならば、管理部門がなくてはいけない。広報が担当すべきなのですが …

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