菓子メーカーのBAKE(ベイク)が販売するチーズタルトは、年間1000万個を売り上げる人気商品。同社は複数のブランドを展開しているが、「1ブランド1商品」のマーケティング手法で、各商品を最高のものにすることを徹底しているという。いわゆるスタートアップ(新興企業)として、スマートフォンで手軽に「写真ケーキ」を注文できるサイト「PICTCAKE(ピクトケーキ)」を開発・展開するなど、デジタル手法を取り入れた、先進的な施策にも積極的だ。

BAKEは「お菓子のスタートアップ企業」として事業を開始。“スタートアップらしさ”を出すために、創業当初から、デジタルによる手法を積極的に活用してきた。「デジタル×お菓子メーカー」という組み合わせは珍しく、同社のユニークさを象徴している。
ともすれば保守的で職人気質な側面を感じさせることもあった菓子業界で、BAKEはデジタル手法による従来にない取り組みを推進し、人気ブランドとなっている。同社でオウンドメディア運営や商品ブランディング、海外展開などに携わる阿座上陽平氏に話を聞いた。

BAKE マーケティング部 プロデューサー 阿座上陽平氏
国内での評判が海外でも売上が爆発的に伸びる
―チーズタルトが大人気ですね。売上が伸びたきっかけとしては、どんなことがあったんですか。
阿座上氏▶ おかげさまで、年間の販売数は1000万個という大台に乗り、全国での出店も拡大させています。
もともとは、当社の兄弟会社で洋菓子を扱う「きのとや」(本店=札幌市)が、新千歳空港内の店舗でチーズタルトを販売していたところ、空港の職員の方々にも好評を博し、札幌市内に新店舗を2店舗出せることになりました。
その後、きのとやで働いていた当社の社長、長沼真太郎が2013年にBAKEを創業しました。2014年2月に東京・新宿のルミネエストに道外への初進出として、また同年11月には自由が丘に旗艦店として「BAKECHEESE TART」をオープンしたんです。「北海道で人気のチーズタルト」ということもあり、多くのメディアに取り上げられ、特に自由が丘の旗艦店は、開店当初から注目してもらえました。
この自由が丘での成功が、BAKEの成長にとって大きな原動力になったと思います。スイーツの場合、自由が丘で人気のお店になると、“おいしいそう”というイメージが定着しやすい。こうしたことから、ほかの都市へも支持が広がり、東京以外の主要都市に店舗を拡大していくことができました。
全国的に高い評価をいただけたことから …