「カゴメ トマトジュース」が好調だ。2月2日、「機能性表示制度」を活用して、トマトに含まれる栄養素「リコピン」が身体にもたらす機能をアピール。「血中コレステロールが気になる方に」と打ち出した結果、出荷開始から約3週間で前年比3.3倍(函数ベース)となった。トマトジュース市場全体では、2012年の「メタボ報道」時を頂点に減少傾向が続くが、カゴメは健康価値を改めて伝えることで、再び拡大を図ろうとしている。

アピールするポイントを明確にするために、パッケージデザインでは「“断捨離”した」と、担当の安藤康洋氏は話す。
※1月25日~2月14日の期間
「カゴメ トマトジュース」は濃縮トマト還元タイプの4つの商品を「機能性表示食品」として位置づけ、消費者の接点拡大を図っている。発売からの好調さの背景には、小売店のチラシにまで配慮した、細やかさがあったようだ。カゴメで同商品を担当する安藤康洋氏に聞く。

カゴメ マーケティング本部家庭用企画部 飲料グループ主任 安藤康洋氏
―なぜ、「機能性表示」を始めたのでしょうか。
安藤康洋氏▶ 当社の「カゴメ トマトジュース」を手にとっていただくお客さまの動機は、「健康に良い」「味が好み」ということが挙げられます。後者の「おいしさの価値」は生のトマトをかじったようなおいしさである夏限定のストレートトマトジュース「カゴメトマトジュース プレミアム」、「健康の価値」は今年2月に発売した機能性表示の商品と、価値を尖らせていこうと考えました。
―2つの価値をそれぞれの商品が担うことには、どんなメリットがあるのでしょうか。
安藤氏▶ 「健康に良い」というニーズには、さまざまな商品が狙いを定めています。飲料でも、ここ数年で「トクホ(特定保健用食品)」に認定された商品が増え続けています。こうして、健康価値を打ち出した飲料のバリエーションが増えてくるということは、トマトジュースの競合にもなり得るということです。
一方で「風味が好み」という方も、最近では、果実が入って飲みやすい野菜飲料などに流出する傾向も見られます。野菜飲料を初めて飲むのがトマトジュースでなく、果実が入った野菜飲料からで、そのまま飲み続けていらっしゃる方も多くなってきました。
もちろん、逆のケース、トマトジュースのほうに移行されるお客さまもいらっしゃいますが、健康価値を打ち出した商品が豊富になることで …