アイスクリームの「MOW(モウ)」が4月、大幅にリニューアルし、より高級感のある装いとなった。昨年、過去最高の売上高4369億円をマークしたアイスクリーム市場の伸びを追い風に、リニューアルで新たな顧客層を開拓して8月まで順調に売り上げを伸ばしているという。「Next Premium」=次世代のプレミアムをスローガンに掲げたプロモーションの背景を、森永乳業 冷菓マーケティンググループの馬渕景士氏に聞いた。
「Next Premium」で久々のCM
近年はテレビCMの出稿をひかえていた「MOW」だが、リニューアルを機に久々のオンエア。女優の木村文乃さんをイメージキャラクターに、3パターンを用意。「男性層が増えたのは、実は木村さん効果かも」(馬渕氏)
動画URL:http://www.morinagamilk.co.jp/learn_enjoy/cm/278.php
右肩上がりを続ける「アイスクリーム類および氷菓」市場をけん引する最大のカテゴリーが「アイスクリーム」カテゴリーだ。日本アイスクリーム協会の統計で、同カテゴリーは2005年比で売上高が36.9%伸び、14年は1365億円に成長した。市場全体は同期間で23.7%増だ。
協会の小林景専務理事は「アイスクリームには近年、『ほっとしたい』『自分へのごほうび』といった需要が見え、比較的、単価の高い商品が買われたり、量より質を求めるシニア層が手に取る傾向が出ている」と話す。こうした背景の中、森永乳業は4月、カップアイス定番商品の「MOW(モウ)」の「プレミアム感」を高める大規模刷新に踏み切った。
「刷新にあたり、“高くていいもの”ではなく、“毎日買えるいいもの”を目指した」と話すのは、森永乳業・冷菓マーケティンググループの馬渕景士氏だ。「消費者調査では、特に女性層を中心として、質と価格のバランスを見極めて購入するトレンドが高まっていることが分かった。そこで今回の改良では、毎日手軽に食べられておいしさには“プレミアム感”のある商品を目指した」。
「MOW」のメインターゲットは、30~40代女性。高級さを感じさせるパッケージデザインに変更した結果、「30代男性も増えた印象」(馬渕氏)という。「リニューアルを経ても、以前からの顧客が離れずにいてくださっている。その層に加えて、新規層を取り込めた結果、順調な売り上げで推移している」(同)。消費者の固定客化に寄与しているのが、コミュニティサイト「MOW CLUB(モウクラブ)」だ。
「MOW CLUB」は会員制のウェブコミュニティサイトで、「自分だけのMOWの食べかた」といった話題を投稿したり、ほかのメンバーの投稿に返信したりするとポイントが貯まる仕組み。ポイントは「MOWのつめ合わせ」などと交換できる。新商品のモニターを募ることもある。
8月で3周年を迎えた「MOW CLUB」の会員数はリニューアル時点で3万人だったが、その後4カ月で3万5000人に拡大した。モニターキャンペーンでも98%以上の会員がリニューアルに好意的だったという。「これまでにMOWを食べていただいていた方にもよく受けとめていただき、MOW CLUBも活性化できた。新会員の増加は、購買者層の拡大と相関があったかとも思う」。
しばらく出稿していなかったテレビCMも …