2014年、400億円規模に伸長したと見られる(富士経済調べ)エナジードリンク市場。しかし、その消費者層のほとんどが若年層の男性だ。女性購入者比率は全体の3割未満にとどまっている。しかし、ポッカサッポロフード&ビバレッジが飲用意向を調査したところ、7割以上の女性が「飲用したい」と回答した。つまり関心自体は高かったのだ。エナジードリンクに手が伸びない理由を取り除けば、市場はまだまだ広がる可能性がある。
共感を得る「大人の女性」描く
「キレートレモン」ブランドのイメージキャラクターである篠原涼子さんが出演。舞台はオフィスで、大量の書類でバランスを取ったり、両手で電話を取ったり、カバンを振り回したり、パソコンをノリノリで打ったり、イスに座ったままお茶目に移動したり……あわただしくも楽しみながら仕事をこなす様子を描き、働く女性向けの商品であることをアピール。
ポッカサッポロフード&ビバレッジは今春、エナジードリンクタイプの新商品として、「キレートレモン ENERGIE(エナジエ)」を全国で発売した。ターゲットは30~40代女性。これまでのところ、顧客層は4割ほどが女性だという。さらに30代以上が80%以上で、ほぼ狙い通りの消費者を獲得している。流出入の分析でも「エナジエ」はエナジードリンク内での併買率が15%以下で、新規層の獲得傾向が強い。
そもそも、女性にとってこれまでどのような点が、エナジードリンクを遠ざける要因になっていたのか。商品を担当する、ポッカサッポロフード&ビバレッジマーケティング本部の濱本紀代美氏は、「着色料など原料について不安を感じていたり、カロリーや味にも不満がある。パッケージデザインも手が伸びない要因となっていた」と分析する。飲用する動機についても、男性は「ゼロからプラスに調子を高めるために飲みたい」というニーズがある一方で女性は、「実際に話をうかがってみると、同じようにゼロからプラスのニーズもあるが、疲労回復やちょっと元気が出ない時など、マイナスをゼロ以上に戻したいというニーズもあって、幅が広いことが分かっていた。また、飲用シーンも、仕事のためと余暇を楽しむための双方が挙げられていた」。
そこで徹底した女性目線で開発されたのが「エナジエ」だ。ベースはレモン果汁と炭酸。エナジー成分は「ローヤルゼリー」や渡り鳥やマグロなどのパワーの源のひとつといわれる「イミダゾールジペプチド」を配合した。さらに、女性にはなじみ深い「ビタミンC」や「クエン酸」を配合、「カフェインゼロ」で「カロリーオフ」も要望の高いポイントだ。
パッケージでは、飲みきれなかった際にフタを閉められる「リキャップ可能」な容器を、メタリックイエローにブラックラインが映えるスタイリッシュなパッケージに仕上げた。書体は化粧品ブランドをイメージしたものを採用するなど、細部まで気を配っている。
実は途中までは、レモン果汁入り飲料「キレートレモン」ブランドとは別立てで開発が進んでいた。「キレートレモンのロゴは“保証マーク”」というのが濱本氏の弁だ。「キレートレモンと掲げることで、自然感、健康に良さそうな感じを印象づけられる。女性向けのエナジードリンクとして、キレートレモンが保証する、という役割」。Twitterなどでは、「キレートレモンのエナジードリンクだから、安心かと思って選んだ」といった声が寄せられたという。
広告戦略は、テレビCMと交通広告がメイン。市場的にもこれまで獲得できていなかった女性を狙いにいった戦略的な商品ということもあり、コンビニからスーパー、ドラッグストアとほぼ小売業態は網羅。店頭での積み増しと共に、広告で一気に認知度の垂直立ち上げを狙った。
イメージキャラクターは、本家「キレートレモン」でも14年秋から商品の顔を努めるタレントの篠原涼子さん。テレビCMでは、働く女性に扮した篠原さんが …