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社会貢献型プロモーション

社会課題は、企業と消費者がともに行動する最大のチャンス

並河進氏(電通)

社会貢献型プロモーションを、トレンドやブームで終わらずに企業にとって効果的なものにしていくにはどうしたらいいのか。社会貢献と企業をつなぐソーシャル・プロジェクトを数多く手掛けてきた著者が、ここ10年の消費者意識の変化を振り返り、最新事例の紹介とともに今どんな「社会貢献型プロモーション」が求められているのかを解説する。

社会貢献型プロモーションがシェアし認められるものに変化

社会貢献とプロモーション。一見つながらないこの二つを組み合わせる、ということが日本で盛んになったのは、ここ10年のことだと思う。

ただ、一口に、「社会貢献型プロモーション」と言っても、この10年間を振り返ると、「どんな社会貢献型プロモーションが求められているか」という点は、変化し続けてきたように感じる。それは、ゆっくりした風の流れの変化のようなもので、今、「どんな社会貢献型プロモーションが求められているか」を考える上でも、まず、この10年の風の変化を(あくまで僕の視点だが)振り返ってみたい。

まず、最初の風は、2004年頃だ。ちょうどこの前後に、「ロハス」という言葉が日本に上陸した。それ以前のエコは、CSRやメセナ、あくまで企業が主語で語られていたが、この「ロハス」は、エコフレンドリーな生き方を楽しむ層として定義づけられていた。エコは我慢するものから楽しむものへ。そうした概念が当時とても新鮮だったことを覚えている。「社会のためになる」だけではなく、「自分自身が楽しいこと」。社会貢献に、「おしゃれ」「かわいい、かっこいい」「楽しい」といった概念が持ち込まれたのもこの時期だ。

次の風は、2008年頃にやってきた。売り上げの一部を社会貢献にあてるコーズリレーテッドマーケティングの風だ。僕自身、ネピアのトイレットロールやティシュの売り上げの一部でユニセフの東ティモールでの支援活動をサポートする「nepia 千のトイレプロジェクト」の立ち上げに関わったのもこの頃。社会貢献に対する世の中の目が成熟していくにつれて、かけ声的なキャンペーンではなく、「自分が、その社会貢献型プロモーションに、関与したことがどう成果に結びつくのかを知りたい」という意識が消費者に芽生えてきたのだと思う。

そして、次の風は、11年以降。東日本大震災が契機となって、日本人の社会貢献への意識が大きく変わったことがその原因だ。それまでは、社会貢献を堂々と行うことは、日本人のメンタリティからすると、照れくささもあり、あくまで「個人的な」活動だった。コーズリレーテッドマーケティングであっても、それを購入する個人一人と企業のつながりに影響を与えるものであった。

そうした感覚が、東日本大震災で様変わりした。かつてないほど多くの人々がボランティアを経験し、多くの企業が被災地で活動をし、NPOとも一緒になって動いた。同時に、この頃から、ツイッターやフェイスブックなどのSNSが盛んになり、ネット上のコミュニティも育っていった。ソーシャルグッドな活動はシェアされ、応援の「いいね!」を受け、コミュニティ上で拡散されるようになった。その結果、自分が属するコミュニティにおいて「シェアし、他者から認められること」の一つとして、社会貢献がとらえられるようになった。

今年、日本広告学会のクリエーティブフォーラムで、筑波大学の西尾チヅル先生とパネルディスカッションでお話しをさせていただく機会があった。西尾先生は、社会貢献的な購買行動の判断要因を定点観測しており、「近年、社会規範評価が、大きな要素になった」とおっしゃっていた。まさに、この三つ目の風、一言でいえば、「シェアし認められる社会貢献へ」の変化のことだと思う。

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