ライオンの制汗剤「Ban 汗ブロックロールオン」は、2月の発売から5カ月で250万個と計画比2.5倍のヒット商品。そのポイントは、従来の制汗剤が主な商品ベネフィットとしていた「ニオイのケア=嗅覚」や「肌感のケア=触覚」から訴求ポイントをシフトし、「見た目ケア=視覚」にいち早く着目したことにある。結果、今年1~9月の制汗剤市場が前年比95%と縮小する中、「Ban」ロールオン全体では同比225%と大きく販売金額を拡大。「汗ブロックロールオン」が属する「直塗り」カテゴリーも2ケタ増と市場押上げにも貢献した。
外出前に用いるだけでなく、持ち歩く人も増えている制汗剤。人目を気にせずポジティブに使えるようにと、化粧品のようなパッケージに。
今回登場する仕掛け人は、ライオンで「Ban」のブランドマネジャーを務める大古勝朗氏。綿密な調査から、「視覚」という新たな制汗剤の訴求点を発見し、消費者インサイトに沿ったコミュニケーションでヒットを生み出した。その背後には、制汗剤を日本に取り入れたライオンとしての挟持を抱きつつも、あえて「嗅覚」や「触覚」に訴えないという決断があった。
大古勝朗氏
ライオン ヘルス&ホームケア事業本部 ビューティケア事業部 ブランドマネジャー
─今回のヒットの要因をどのようにお考えですか。
これまでの制汗剤は主にニオイ・嗅覚と、肌をサラサラに保つ触覚の二つの感覚で競ってきました。「Ban汗ブロック ロールオン」がヒットした要因は、争点を「視覚」にシフトしたことにあると考えています。
つまりワキ汗を「見られるもの」ととらえるということです。ワキ汗が出ると、服にシミができてしまい、色や素材によってはとても目立ちます。自分で見るのも気落ちしますし、他人に見られるのも恥ずかしい。そこで「Banは …