「ウィルキンソン タンサン」は、炭酸水市場で売上No.1※のブランド。アサヒ飲料が注力するブランドのうちの一つで、2011年、500ミリリットルのペットボトル商品を展開したところヒット。無味の炭酸水市場の火付け役となった。発売から110周年を迎えた今年目指すのは、1000万ケース超えの大台だ。

2014年も1~7月累計で630万ケース(前年比118%)と大きく伸びている「ウィルキンソン タンサン」。ブランド全体の販売数量は40カ月連続で前年を上回っている。
※インテージMBI調べ 炭酸水市場(スパークリングウォーター含む)2013年1月~12月累計販売金額/集計エリア:全国、コンビニエンスストア・スーパーマーケット・ドラッグストア計
今回登場する仕掛け人は、アサヒ飲料で「ウィルキンソン タンサン」のブランド戦略を担う川上隆之氏と、広告・販促を担当する本松達朗氏の二人。「無味の炭酸水をそのまま飲む」という飲用シーンを生み出し、2013年はブランド全体で978万ケース、前年比143%と大幅な販売増を実現。市場の牽引役となったブランドがヒットした背景を語ってもらった。

川上隆之氏(左)
2007年、アサヒ飲料入社。マーケティング部に配属。果汁、コーヒー、お茶の商品担当を経て、現在ウィルキンソンの戦略・商品企画を担当。
本松達朗氏(右)
2010年、アサヒフードアンドヘルスケア入社。ヘルスケア東京支店に配属。営業職を経て、12年に「アサヒ飲料」へ異動。現在は「ウィルキンソン タンサン」「十六茶」の広告・販促を担当。
─2013年は978万ケースと好調でした。この大ヒットはどのようにして生まれたのでしょうか。
川上▶ 炭酸水をそのまま飲むことに対するお客さまのニーズの芽生えや将来性にいち早く着目し、“炭酸水の直接飲用”という飲用スタイルの提案を世の中に先駆けて行ったことが大きいと思います。このトレンドの底流にあるのは、ここ数年ずっと続いている健康志向です。その上で、カロリーは抑えたいけれど普通のミネラルウォーターではもの足りずに刺激がほしい、といった、プラスアルファの価値を求めるお客さまが増えているのです。折しも、健康や美容、ダイエットにもよいとして、メディアで注目されたこともブームのきっかけとなりました。
─その中で、「ウィルキンソン タンサン」はどのように消費者に受け入れられていきましたか。
川上▶ 「ウィルキンソン タンサン」は、「三ツ矢サイダー」「WONDA」「十六茶」「おいしい水」と並ぶ、当社の中でも戦略的なブランドの一つです。1904年、「ウヰルキンソン タンサン」のブランド名で発売(当時は、ザ クリフォード ウヰルキンソン タンサンミネラルウォーター有限会社による販売)して、今年でブランド誕生110周年を迎えます。
ただ、元々はカクテルなどをつくるための「割り材」として、主に料飲店向けに瓶詰めで販売していた商品でした。無糖の炭酸水を飲む習慣は従来、海外のもので、日本ではなかなか根付いておらず、世界的に有名なブランドですら、日本のコンビニエンスストアやスーパーマーケットではあまり目にする機会がありませんでした。
では、なぜ「ウィルキンソン タンサン」を一般向けに発売することになったかと言いますと ...