湖池屋が2月に発売したポテトチップス「頑固あげポテト」が好調だ。5月末時点で累計出荷数が1100万袋に到達。売り上げ計画比で160%という脅威のスピードだ。同社創業当時の製法のおいしさを再現し、味や食感にもこだわった商品だが、受け入れられている要因は一体何か。「一斗缶プレゼントキャンペーン」ほか、その背景に迫る。
柏倉祐太氏(かしわくら・ゆうた)
湖池屋 マーケティング本部マーケティング 第1課
2008年湖池屋入社。約3年間の営業を経験後、11年よりマーケティング部配属。ブランド管理、新ブランド立上げ、新商品開発、広告PRに携わる。「頑固あげポテト」ブランドは、2014年上半期ヒット商品ランキング17位(食品飲料外食部門)に。
今回の仕掛け人は、湖池屋マーケティング部の柏倉祐太氏。「頑固あげポテト」から、「安心感」「上質感」というテーマを引き出し、ネーミングやパッケージ、価格設定、ウェブプロモーションなど、多方面からヒットの要因を積み重ねていった。それぞれのポイントがどう寄与していったのか、今回のヒットを自身に分析してもらう。
「頑固あげポテト」は2月の発売以降、4月に食べきりサイズのスリムバッグ、5月に通常サイズ(一般サイズ)の2倍の容量の「二人前サイズ」を発売した。
─ヒットした要因を、どのように考えていますか。
振り返ると「時代の空気にあっていた」「食用シーンに適していた」「販売価格と回転個数」「キャンペーンで大きく認知が取れた」がポイントだったと思います。もちろん相互に絡み合うことですし、すべて計算づくというわけではありませんが…。
では、まず「時代の空気」から。いまや国内市場では、「おいしい」という価値は消費者にとって当たり前のことになっていますよね。その上でどの商品を選ぶかと言われたら、「安心感」「上質感」という点で判断する方は多いのではないでしょうか。食品に限らず、消費者には「確かなものを選びたい」という空気があると思います。
「頑固あげポテト」の一番の特長は、国内産じゃがいもを使い、「釜揚げ製法」で作っているということです。釜揚げ製法は、湖池屋がポテトチップスを発売した約50年前当時を再現した作り方で、このために世界に1台しかない機械を特注して生産しています。当社としても歴史と伝統を受け継ぐ商品ですから、いずれにしても、質の確かさによる安心感、上質感を訴えるのは外せないところでした。こうした点から時代の空気を幸運にも汲み取ることができ、付加価値として支持していただけたのではないでしょうか。
「安心感」「上質感」は ...