販売促進の専門メディア

売れる!集まる!キャラクタータイアップ販促

エヴァ、円谷プロ、タツノコプロ...百貨店によるキャラクター活用で売り上げ9%増も

大丸松坂屋百貨店/松屋

いまやキャラクタータイアップは、業種・業態を問わずさまざまな企業で取り組まれている。キャラクターを活用するメリットの一つが、そのファン層に狙いを定めてアプローチできる点だ。既存の顧客層とは異なるファンを持つキャラクターと組めば、新規顧客獲得にもつなげることができる。ここでは大丸・松坂屋と松屋銀座によるキャラクタータイアップ事例を紹介する。

往年の人気キャラクター起用で
親子3世代の“子連れ消費”促す

033_01.jpg

春・秋とも制作したキービジュアルでは、同社公式キャラクター「さくらパンダ」とタイアップキャラクターのコラボレーションによる相乗効果を狙った。特に秋のキービジュアルは女性から好評で、オリジナルデザインのチャリティピンバッジは計2万個が発売から数日で完売した。

大丸松坂屋百貨店は2013年、春と秋の2回にわたり、全国の大丸と松坂屋計19店でキャラクタータイアップによる催事を行った。

3月開催の「春のウルトラサンクスフェスティバル」では、同年に創立50周年を迎えた円谷プロと組み、同社を代表するキャラクター「ウルトラマン」を起用。また、9月~10月にかけて開催した「秋のサンクスフェスティバル」では、『ガッチャマン』の実写映画公開で注目を集めたタツノコプロと組んだ。

春の施策を担当した営業企画室販売促進部マネジャーの竹下健司氏は狙いについて、「13年は全社方針として“共感プロモーション”を掲げ、特に親子3世代が一緒に来店してくれるような企画を目指していた。その第1弾が円谷プロとのタイアップです。3世代にわたる幅広い年代層に共通でアプローチできるコンテンツとして『ウルトラマン』は最適と考え、当社から円谷プロに声を掛けました」と話す。

大丸・松坂屋の全国店舗では毎年春と秋、ファンづくりに重点を置いた催事として「サンクスフェスティバル」を開催してきた。しかし、例えば同じ東京でも東京店と上野店では客層がまったく異なり、すべての顧客に共通でアプローチできる催事のコンテンツを模索していたという。また、人気キャラクターとタイアップすることで、通常とは異なる顧客層を開拓する狙いもあった。親子での来店を促すため、特に重視したのが顧客参加型企画だ。例えば春の開催時には、各店先着100人限定で、怪獣「バルタン星人」とジャンケン対決ができる企画を実施。

また、秋の開催時には、店内で折り紙やけん玉を教える体験イベントを行い、親子での参加を促した。「デジタルゲームの時代に、あえて親世代がヒーローになれるアナログな遊びを使い、親子の“思い出の場所”になれればと考えた。今の消費傾向は、子や孫に物を買い与える『子ども消費・孫消費』から、家族で一緒に出掛けて楽しむ『子連れ消費』にシフトしています。今回の通年のキャラクタータイアップにより、子連れ消費を喚起できた点が成果の一つです」と、秋の企画を担当した同部の西岡和也氏は振り返る。

告知では通常の催事と同様に折込チラシを展開したほか、「ウルトラサンクスフェスティバル」の開催前には、円谷プロ、共同開催のパルコと合同で記者発表会を開催。ウルトラマンとともに両社のマスコットキャラクター「さくらパンダ」「パルコアラ」も登場し、その模様は動画サイトやSNSで拡散された。

また、バルタン星人とのジャンケン企画は発表直後から、「バルタン星人はチョキしか出せないのでは?」とネット上で話題となり、100戦100敗という“オチ”も含めて同社の想定以上に情報が拡散。多くの店舗で行列ができるほどの盛況となった。「キャラクターを起用することで、思いがけない話題化につながることも今回実感した。ジャンケン企画の話題はまとめサイトなどにも登場し、当社が通常アプローチしている層とは異なる層に興味を持ってもらうことができました」(西岡氏)

こうした取り組みの結果、春・秋ともに全店の合計売り上げは前年同期比プラスを達成。特に秋は、台風が上陸した中でのプラスとなり、社内的にも高評価だったという。また、春に10店、秋に15店で実施したスタンプラリー企画の参加者は、2回とも全国合計で1万人を超え、館内の回遊促進につながった。両期間中には、催事で毎回恒例の抽選会も実施し、賞品として買い物券を進呈。今回のタイアップを機に来店した新規顧客の再来店も期待できる。

033_02.jpg
033_03.jpg

春・秋ともにスタンプラリーを開催し、フロア間の回遊を促した。また、タツノコプロとのタイアップでは特に若い女性を意識し、オリジナルデザインの顔出しパネルやプリクラ機なども設置。

033_04.jpg

一部店舗ではアニソン歌手によるライブを開催し、タツノコプロの作品を中心に、『科学忍者隊ガッチャマン』など王道のアニメソングを披露。心斎橋店で約150人、京都店で約200人が来場し、盛況となった。

「エヴァ」催事と売り場を連動
売り上げは昨対比9%増

033_05.jpg

婦人服売り場では等身大フィギュアを設置し、そのキャラクターの私服をイメージしたコーディネートをスタッフが提案。コーディネートを毎週変えて、来店の楽しみにつなげた。「もともと作品が持つスタイリッシュさが、企画全体にプラスに働いた」(鈴木氏)。

松屋では、13年8月7日~26日に銀座本店で開催した文化催事「エヴァンゲリオン展」と売り場を連動し、催事の来場者を各フロアに誘引する取り組みを行った。

3階の婦人服売り場や5階の紳士服売り場には、『エヴァンゲリオン』の登場人物の等身大フィギュアを展示し、キャラクターをイメージしたコーディネートを提案。食品フロアで作中に登場する「ネルフ」のロゴ入りクッキーを販売したり、各フロアの飲食店で作品をモチーフにした限定メニューを提供したりして、8階催事場からの回遊を狙った。

同店では40年ほど前から、こうした“シャワー効果”を狙って催事を開催しており、特に画廊の多い銀座という土地柄、美術品の展示を中心とした文化催事を重視してきた。中でも近年は、アニメや漫画などサブカルチャー分野の催事に力を入れている。契機となったのは、08年に開催した漫画家・高橋留美子さんの展覧会だ。「競合との差異化のために開催したところ、20代から50代まで各世代のファンが訪れ、親子2世代で来るお客さまも多かった。高橋さんは『うる星やつら』『めぞん一刻』『らんま1/2』など、年代ごとにヒット作を生んでいるので、幅広い世代にファンがいるのです。この時に想像以上の集客力を実感し、サブカルコンテンツの催事を強化してきました」と、コンテンツ事業化の鈴木健寛氏は振り返る。

その後、「赤塚不二夫展」や「ベルサイユのばら展」などを開催する中で、催事会場の外にフィギュアを展示して興味を喚起するような取り組みは行ってきた。今回のエヴァンゲリオン展では版権元の提言も受け、こうした取り組みをさらに拡大し、部門とフロアを横断して取り組むことで、より直接的に売り場の集客につなげることに成功。結果的に、期間中の入店客数は前年同期比12%増、銀座店全体の売り上げは9%増と大きく伸長した。

実施に際しては、展覧会の来場者に連動したそれぞれの売り場に足を運んでもらえるよう、8階から地下1階まで計13カ所を巡って暗号を解くスタンプラリー企画を展開。解読するための13の文字は、「松屋銀座×エヴァンゲリオン コラボレーショングッズ」を販売する各店のPOPに記載し、グッズの販売と来店促進につなげた。

033_06.jpg

5階の紳士カバン売り場には、人気キャラクターと記念撮影できるフォトスポットを設置。フォトスポットはほかにも設け、SNSでの写真の拡散を狙った。

033_07.jpg

スタンプラリー企画は、展覧会会場で参加用チラシを配布して告知。先着5000人の正解者にエヴァのステッカーをプレゼントした。

今回フロアを越えて連動できたのは、文化催事担当のコンテンツ事業課だけでなく、社内のエヴァファンがプロジェクトチームとして取り組んだためだ。「担当部署の4人だけでは解釈が難しい作品だったこともあり、他部署からファンを募集し、15人もの有志に『エヴァ隊』として協力してもらえたのが良かった。ファンならではのアイデアが、同じファンであるお客さまにも響いたのだと思います。例えば期間中、店舗外壁を『エヴァ初号機』の色にライトアップしたのですが、そんな簡単なことで本当に喜ばれるのか疑問でした。しかし、エヴァ隊メンバーの『それで十分楽しい』という感覚がファンに受け入れられた。服飾売り場でのフィギュア展示なども一見単純なようですが、ファンが集まる“場”として楽しんでもらえたようです」

サブカルコンテンツの催事を行う際は、瞬間風速的に流行しているコンテンツよりも、各世代にコアファンを有し、顧客層の拡大が期待できるものを選んでいるという。今回のエヴァ展には20日間で延べ約15万人が来場し、同店の催事史上2~3位に当たる記録を達成。来場者層は10代から70代にまで及んだという。特に、同店の平常時の顧客層と比べ、若年層の集客に成果を上げた。

こうした催事を通じて獲得した新規顧客に、取り組みが終わった後も継続来店してもらうことが次の課題となる。そのため、同店では今回のエヴァ展期間中、5000枚の数量限定でエヴァデザインのポイントカードを発行。催事と連動したポイントカードを発行するのは初めてのことだ。これも、プロジェクトチームにカード担当部署のメンバーがいたからこそ実現したアイデアだという。

「来場したエヴァファンのうち何割が松屋ファンになってくれたかは検証できていませんが、今回の取り組みで、売り場への回遊が促せたことは売り上げが増加したことからも間違いないと思う」と同氏。今後もキャラクターコンテンツに限らず、文化催事と売り場の連動は、部署横断の組織体制で強化していくという。

033_09.jpg
033_08.jpg

会期中、外壁を「初号機」カラーにライトアップし、全館で作品とコラボレーションしていることをアピール。また、催事会場には「ローソン松屋銀座店」と題し、過去にローソンが発売したオリジナルエヴァグッズなどを展示した。こうした多彩な企画がすべて実現できたのは、版権元の理解と柔軟な許諾によるところが大きい。

033_10.jpg

5000枚発行したエヴァデザインの「松屋ポイントカード」は、会期終了前に発行完了。

売れる!集まる!キャラクタータイアップ販促 の記事一覧

ローソン&ファミリーマートのキャラクタータイアップ戦略とその成果
人気だけで選ぶのはNG!2014年にタイアップすべきキャラクター6選
オフ会は「カラ鉄」で!アニメファンを囲い込むキャラクター販促手法
『島耕作』30周年がお手本!キャラクターの節目を盛り上げる企業タイアップ
「ワッペンキャラクター」は古い!ソーシャルメディア時代に求められるキャラクターの販促活用
ガルパン、らき☆すた、あの花...「アニメツーリズム」成功事例の舞台裏
エヴァ、円谷プロ、タツノコプロ...百貨店によるキャラクター活用で売り上げ9%増も(この記事です)

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
販促会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する