いまやキャラクタータイアップは、業種・業態を問わずさまざまな企業で取り組まれている。キャラクターを活用するメリットの一つが、そのファン層に確実にアプローチできる点だ。最近ではさらに、企業が販促施策の中で、ファンをコミュニティ化していく動きが生まれている。ここでは「カラオケの鉄人」を運営する鉄人化計画と、紳士服のはるやま商事によるタイアップ事例を紹介する。
「ここでしか歌えない曲」で
コアファンを囲い込む
大手カラオケチェーンでは最後発に近い参入でありながら、独自路線で存在感を示す「カラオケの鉄人」。アニメやボーカロイド、ご当地ヒーローなど多様なジャンルのカラオケ未配信曲を単独配信することで、ニッチな需要に応え、着実に固定客を獲得している。この取り組みを始めてからの2年間で、追加したオリジナル楽曲は1万5000曲に及ぶ。
そして、「他店では歌えないコアな楽曲が歌える」という、同店ならではの魅力を広く訴求するために始めたのが、楽曲配信しているアニメなどのコンテンツとタイアップした「コンセプトルーム」だ。期間限定で各店1~2部屋、そのコンテンツの世界観で演出した部屋を用意し、オリジナルの飲食メニューも提供。さらに、利用者にはそのキャラクターがデザインされた限定の会員カードをプレゼントするなどして、タイアップ終了後の再来店にもつなげる。
運営する鉄人化計画のコンテンツ事業本部 コンテンツビジネス部 影近征也氏によると、こうしたキャラクタータイアップで来店する人は大部分が新規顧客だという。「ただ、コンセプトルームなどは細部までこだわって作っているため費用対効果が必ずしも高いとは言えず、収益化を目的にしているわけではありません。それよりも、『ここまでこだわっている』『ポピュラーじゃなくても歌いたい曲がちゃんとある』という企業姿勢をコンテンツのファンの方に伝え、競合にはない独自価値を知ってもらうことが目的です」(同氏)