一つのコンテンツが同時に多くの企業に起用され、露出が増えることでキャラクターそのものの人気が高まり、さらなるタイアップ効果につながる例は多い。特に、周年などでコンテンツホルダー自身が盛り上げに注力するタイミングは狙い目と言えるだろう。2013年は、漫画『島耕作』シリーズが『モーニング』(講談社)連載30周年を迎え、作中で「会長」に就任。大小含め複数のタイアップが行われた。
「CLUB GENT」で連動したのは『おとなの週末』『クーリエ・ジャポン』『現代ビジネス』『週刊現代』『FRaU』など7媒体。『ベストカー』では、カムリのスペック面に特化したタイアップコンテンツを掲載した。
“人”として起用することで企業も物語を創る一員に
『島耕作』30周年に際したタイアップ企画の一つが、トヨタマーケティングジャパン(以下TMJ)と講談社の共同プロジェクト「CLUB GENT(クラブジェント) supported by TOYOTACAMRY(カムリ)」だ。同プロジェクトの目的は、島耕作のような“ジェントルマン”を育てること。9月26日発売の『モーニング』に、島耕作が妻から「カムリ」をプレゼントされる番外編を掲載し、記者発表イベントでプロジェクト内容を発表した。「『CLUB GENT』によって当社がアプローチしたいのは、『モーニング』読者だけではありません」と話すのは、TMJ プロデュース局の岡 泰平氏。今回のタイアップは、9月に発売したカムリの特別仕様車のプロモーションを、世の中的な関心事にするために企画したものなのだ。
カムリは海外で高い人気を誇る世界戦略車の一つだが、国内で大々的なPR活動は行ってこなかった。また、国内の既存ユーザーは50~60代が中心で、さらなる拡販のためにはブランドの認知向上と若返りが課題だった。そこで、30~40代に支持され、周年で注目を集める島耕作を起用。「ただのイメージキャラクターではなく、世の男性が憧れる“ロールモデル”として起用することで世間的な話題化を目指した。『会長・島耕作が乗っている車』という物語を発信することで、自然にカムリの価値を訴求する狙いでした」と同氏は話す。