レンタル・シェア文化を浸透させるためのブランディング (後編)
必要なときに必要なだけ利用できる経済性や合理性が支持され、広がりを見せているレンタル・シェアリングサービス。車からファッション、スペース、スキルまでさまざまなカテゴリーでサービスが生まれている。ただ、なんとなく存在は知っているものの、一歩を踏み出すには至っていない生活者が多いのも事実。成長過程のサービスの最新プロモーションを取材した。
業界別販売促進
小額投資非課税制度(NISA)は、株式と株式投資信託から得た利益に対する課税が免除される制度。10年間の時限措置として、2014年1月からスタートする。投資額は年間100万円、累計500万円までの制限があり、そこから発生する配当金や分配金、譲渡益が5年間非課税となる。
NISAを利用するためにはNISA口座を新たに開設する必要があるため、この口座獲得を巡って証券・銀行各社がしのぎを削っている。手数料を無料化してコスト面でのメリットを訴求したり、口座開設の申込者に対するプレゼントキャンペーンなどを実施したり。すでに自社で口座を持つ既存客はもちろん、NISAを機に投資を始めようとする投資初心者を取り込もうと施策を練る。
今回、ネット証券会社3社と銀行1社に取材。ネット証券の利用者は、対面に比べて若い世代が多く、自分で判断して投資するという傾向が強い。利用者の判断材料となるための丁寧な情報提供や、オンラインならではの施策が目立った。一方、銀行は株式を取り扱わないため、NISA対象商品は投資信託のみ。長期投資を考える人や、これから投資を始めようとする初心者に狙いを定める。
NISA特設サイトのトップページ。サイト上部に子猫のビジュアルを配置し、投資初心者にも親しみやすいイメージを演出している。
10月に東京で開催されたNISAセミナーの告知。
NISAについて分かりやすく説明した漫画「NISAによろしく」。ネット上では「NAVERまとめ」での発言もあり、口コミ効果が見られた。「この漫画を見てNISA口座を申し込んだ」というセミナー参加者(女性)の声もあったようだ。
「手数料0円」のようなサービス訴求型のバナー広告があふれる中、漫画のイラストがデザインされたマネックス証券のバナー広告は注意を引いた。
各社がそれぞれに工夫を凝らした施策を繰り広げる中、証券業界やネット上で話題となったのが、マネックス証券がNISAについて分かりやすく漫画で解説した「NISAによろしく」である。人気漫画『ブラックジャックによろしく』(佐藤秀峰著)のパロディで、1話完結の全6話。7月から8月中旬にかけて、同社のNISA特設サイトで順次公開された。
NISAの制度や活用法、マネックス証券におけるNISA取扱商品などを紹介している。1話ごとにオチがついており、投資初心者にも親しみやすい内容だ。マネックス証券 営業企画部マネジャーの森山智光氏は、「漫画を活用するからには面白く読んでもらいたいので、金融業界の表現ルールに則りながらも、エッジの利いた表現にしました。SNSでの口コミによる波及効果も狙っています」と話す。
シリーズ展開にしたのは、定期的な情報発信で潜在顧客を飽きさせないためだ。同社がNISA口座の資料請求受付を始めたのが3月下旬。夏に実施した口座開設早期申し込みキャンペーン告知後、実際に口座開設受付が始まる10月まで、「いかに定期的に当社サイトを訪問してもらい、興味を引き付けておけるかは課題でした」と森山氏は話す。
サイトへの集客策として、「NISAによろしく」を前面に押し出したバナー広告を展開。漫画のイラストがアイキャッチとなり、投資に関心のある層だけでなく、未経験者を含む幅広い層の関心を集め、「サイトへのアクセスや口座開設申し込みは格段に増えた」という。各話の最後には、口座開設申し込みボタンや、漫画で紹介した商品やサービスに関連するページへのリンクを配置し、サイト内の回遊を促す動線を整備した。