販売状況や購入者情報などを多く盛り込んだ不動産チラシ広告が近年増加の傾向にあると指摘するのは、不動産広告マーケティングに詳しいDGコミュニケーションズの石鍋紀彦氏。ページ数の多いタブロイド形式を採用することも多く、当然コストもかさむが、それでもなおコンテンツを充実させたチラシが制作されている理由とその役割について紹介する。
「コンテンツ充実型不動産広告チラシ」の増加
「○○○が売れている。という噂は本当です。」(○○○は物件名)
これは、ある都心大規模マンションの第二期予告広告の折込チラシ広告のコピー。第1期で500戸近い販売戸数を完売した人気物件だ。さらに、チラシ裏面では購入者のマンションに対する評価の声で物件紹介を構成している。
このような従来の商品情報中心のマンションチラシとは異なる、販売状況や購入者・来場者などの情報を多く盛り込んだチラシ広告が増えている。
本稿では、昨今の新築分譲マンションチラシにおいて、販売結果・購入している人たちなどの情報を厚くした「コンテンツ充実型不動産チラシ」が増加してきている背景を整理し、高額商品・低頻度商品におけるチラシ媒体の可能性を見ていきたい。
不動産広告媒体に求められること
不動産の購入行動を整理すると、「買う気になる」⇒「探す」⇒「比較検討する」⇒「購入物件を決定する」というステップを踏むのが一般的だ。この流れに沿った広告・プロモーションという視点では、網羅性が高く比較検討がしやすい不動産情報サイトがもっとも効果的。
しかし、売主から見れば不動産分譲商品のプロモーションには「探されていない物件」を「プッシュすること」が必要になる。
つまり、不動産商品が事業として成功するためには、その物件を本命として探している人だけでなく、
(1)その物件が自分の検討範囲に入っていない人に気付かせる
(2)その物件を実際に見に行こうか迷っている人に行く気にさせる
(3)まだ買うことを考えていない人に考える契機を与える
という「PUSH力」が必要となってくる。
不動産プロモーションにおける折込チラシの位置づけ
図1のように、不動産の広告媒体をマッピングするとこのような位置づけになる。