森下仁丹「『仁丹』120周年リブランディング」の企画書/イニシャル
森下仁丹は2月11日、「銀粒仁丹」のリブランディング施策を開始した。来年、「仁丹」の発売から120周年を迎えるにあたり、ブランドの再活性化を狙ったためだ。
マル秘公開 これがプロの企画書だ!
中日アド企画
コミュニケーションデザイン局 コピーライター
加藤 了平氏(かとう りょうへい)
1976年生まれ。同志社大学卒業後、広告会社を経て、2002年中日アド企画入社。企業・自治体の広告企画制作から、ブランディングや販売促進を目的としたコミュニケーション立案を担当。主な受賞歴に、消費者のためになった広告コンクールJAA賞、中日新聞広告大賞部門賞、宣伝会議賞協賛企業賞など。
まず、アナログ放送終了によるリニューアル後、初となる夏休みの来場促進を考える上での課題を整理してみました。一つ目は、アナログ放送終了後ということで、今後のテレビ塔の存在価値を、広く世の中へ発信できる話題性ある企画とすること。二つ目は、これまで放送局が使用していた空室をどのように活用し、かついかに展望台利用にまでつなげるか。三つ目は展望台利用について。展望台の利用者数が減少している中、競合するほかの展望施設に対し、どう差異化を図るかが重要なポイントとなります。
次に、名古屋テレビ塔の利用について、生活者の意識を調べてみました。2011年の市政アンケート調査によりますと、テレビ塔への通算来場回数は2~5回とそれほど多くありません。また、テレビ塔の位置づけは、多くの方が「名古屋の風景」と捉えていることが分かりました。この結果から、テレビ塔は、親しみは持たれつつも、直接利用するものから、景観としての存在に変わりつつあることが伺えます。テレビ塔への来場促進、展望台の利用促進を考える上では、いま一度直接利用、つまり登ってみたくなるための、新しい価値づくりが必要だと考えました。
そこで、今回の企画では、テレビ塔に“登る”行為そのものに着眼し、展望台にたどり着くまでの過程自体を楽しめるようなアトラクションがつくれないかと考えました。現状の課題となっている、放送会社撤退後の空室を利用しつつ、テレビ塔の入り口から展望台に登るまでをストーリーづけし、コンテンツ化することができれば、ほかの展望施設にない魅力となり、新しい来場のきっかけが生まれると考えます。
テレビ塔に登るという行為に着眼した、新しいアトラクションのコンセプトは、「怪談×階段」で、「カイダン・カイダン」と読みます。夏の風物詩である、怪談話のカイダンと、登る階段である、カイダンを掛け合わせています。ダジャレのように聞こえますが、一度目や耳にすると、ついつい口ずさみたくなる中毒性のある言葉、それが本企画のキーワードです。