リピート顧客を確保するためDMを送付し、購入特典や割引を案内する際、目標とする反応率を達成するためには、どの特典をつけたらいいのか、どのぐらい割引すればいいのか。自社に蓄積されたデータをもとに、分析する手法を解説する。
CASE
紅茶の通販サイトを運営している上村さんは、リピーター確保のために、不定期で1週間限定の全商品割引キャンペーンを行っている。その際、既存の顧客にはチラシと携帯を使ってダイレクトメールを送っている。送付方法はまちまちで、チラシのみのときもあれば、携帯メールだけのこともある。あるいは、両方送る場合もある。
割引率は、キャンペーンごとに全品5%から20%の割引幅で設定している。購入者特典を付けないこともあるが、基本的にサンプルとしてのティーバッグや、紅茶で作ったクッキーをプレゼントしている。キャンペーンでは、その時々で「全商品10%オフ、購入者にお好きな紅茶のティーバッグをプレゼント!」などとうたっている。通販サイトにとって、リピーターは、経営の安定には欠かせない。上村さんは、キャンペーンの反応率をもっと高めたいと、データを眺めながら考えている。
どうすれば反応率を上げることができるのか。
数値化できないデータを疑似的に数値化する
上村さんの持っているデータが表1である。データの要素は、送付方法の「チラシ」と「携帯メール」、購入者特典の「ティーバッグ」「紅茶のクッキー」、割引率、そして反応率である。もし送付方法、特典、割引率と反応率の関係が定量的に分かれば、「30%の反応率を得るためにはチラシと携帯メールを使って、クッキーの特典を付け、何%の割引率が必要であるか」といったことが具体的に示せるはずだ。
「送付方法」「購入者特典」は数値化されていない質的データ、「割引率」「反応率」は量的データ。つまり「予測したいデータ」は量的データ(反応率)、「予測に使うデータ」は「質的データ+量的データ」になっている。
割引率が高くなるほど反応率が上がる、といった相関関係にあるデータを分析する時に使われるのが「回帰分析」と呼ばれる手法。例えば、値引き額(説明変数)によって販売量(従属変数)がどれだけになるかを分析するときにも利用できる。説明変数の数が複数ある時には、「重回帰分析」を使う。これはExcelを使えばボタン一つで値を導き出せる手法だ。今回は、反応率を左右する要因が「送付方法」「特典」「割引率」と複数あるので「重回帰分析」を使う。