「会員制度をつくって顧客データは集めているものの、その後の具体的な施策を決めかねている」「ポイント付与以外の活用ができていない」......。データ分析への関心は高まっているものの、その先の一歩が踏み出せていない。そんな販促担当者に向け、自社顧客のLTV(ライフタイムバリュー)を向上させるために必要となる、データ分析と活用の手法について日本テラデータの山本泰史氏が解説する。
十数年前。その頃まだ多くの小売業は、ポイントプログラムや会員カードの有効性について半信半疑だった。当時当社では小売業向けに、ポイントカードに対応したPOSシステムから生成される、顧客番号付き購買履歴を分析するデータベースの提案を行っていた。だが、果たして顧客が買い物の際にカードを持参して提示してくれるのか、不安に思われる方も多かった。でも今や、ポイントカードは小売業に限らず幅広く利用され、消費者にも当たり前のものとして受け入れられている。
FSP(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)と総称されるこれらの施策は、その名の通り買上頻度の高い顧客を優遇することを主軸としている。買い上げに応じてポイントなどの特典を提供することによって、顧客を囲い込み、顧客との関係性を強化し、最終的には各顧客のLTV(ライフタイムバリュー: 顧客生涯価値)を最大化することを目的としている。
しかしながら、とりあえず顧客データを集めただけにとどまっているケース、目先の販売促進策としてポイント還元を利用するにとどまっているケースも散見される。これらは決して間違いではない。だが、本来の目的とのギャップを考えたとき、それだけでは充分でないのも確かだ。本稿はこのギャップに注目したい。顧客データを有している販促担当者が、自社顧客のLTVを向上させるために必要となる、データ分析と活用の手法について概観する。