顧客育成に取り組む企業がつまずきやすいのは「継続」すること。常に変化する顧客を理解するためにはデータを多面的に取得・分析し、仮説を立て、結果を検証するサイクルの継続こそが大切だとシナジーマーケティングの御子柴正武氏は指摘する。ここでは顧客理解を深めるためにどのようにデータを活用すればいいのか、そのポイントを解説する。
顧客を深く知るためのデータ管理の手順
昨今、消費者の購買行動は多くの情報の中から趣味嗜好(しこう)に合う製品やサービスを選択するようになっている。そのため企業が顧客に対し画一的なコミュニケーションを続けるなら、顧客をつなぎとめることは難しい。しかし顧客と良好な関係を構築し、一人でも多くの顧客の満足度を高めることができれば、長期にわたるリピート購入が期待でき、結果としてLTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)の向上が図れる。そのために不可欠な第一歩は「顧客を深く知る」ことである。
一方IT技術の発達により、顧客に関するさまざまな情報を取得しデータを統計的に管理することが容易になった。「ビッグデータ時代の到来」といわれるゆえんである。しかしこのトレンドに乗り遅れまいと競って顧客データの取得・蓄積に着手したものの、部署ごとに顧客データベースが構築され、一元化されていないうえに、膨大なデータをどのように分析し次のアクションにつなげれば良いのか、という戦略的なデータ活用に悩む企業が多いのも事実である。そうならないためにも、あらかじめ必要なデータを明確にしたうえで取得・蓄積することが重要であり、蓄積されたデータを分析し仮説を立て検証していくというサイクルが回り出して、初めて戦略的なデータ活用ができていると言える。
そこで以下に、顧客理解を深めるためのデータ管理の手順について解説する。まず自社にどのような顧客が存在しているのか、その顧客群のボリュームを把握する必要がある。