石岡瑛子の核にある「I = 私」という哲学
石岡瑛子 I デザイン
デザイナー、アートディレクターとして人々に新しい価値観を提示し、広告、舞台、映画など多岐にわたる分野で国際的に活躍した石岡瑛子。
働く女性がまだ少なかった1960年代初頭、東京藝術大学卒業後に資生堂宣伝部へ就職し、デザイナーとしてのキャリアをスタート。当時の広告やメディアで描かれる女性像に疑問を抱き、資生堂のサマーキャンペーンでは当時高校生だった前田美波里を起用。それまでの紋切り型の美人像を一新し、生命力溢れる意志的な女性像を打ち出すなど、新しい価値観を提示してきた。
本展では、石岡が東京を拠点にしていた1960~1980年代の仕事を中心に、アートディレクターとして采配を振るったポスターやCM、グラフィックアートからスケッチまで約500点を一挙に公開する。
これらの仕事を貫く、確固たる「I = 私」。それはデザイナーとしての「個性」や「エゴ(自我)」ではなく、文化や価値観が異なるクリエイターと協働する中で培い、磨き上げてきた「本当の自分力」。そしてそれは、自分を見失いがちな現代において、…