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広告に物語を描き出す「音楽」の力と効果

なぜ『Blue』を起用した?HondaのCMにおける音楽の役割

東畑幸多さん((つづく))

1月29日に公開された本田技研工業のCM「MOVE」篇が話題だ。その一因は、楽曲『Blue』の起用にある。この曲は国内外で熱狂的な支持層を持つアニメシリーズ『カウボーイビバップ』の最終話の象徴的なエンディングシーンで流されたもので、アニメファンを中心に、本CMの話題が広がっていったことはたしかだ。しかしこの楽曲の起用の裏には、Hondaという企業が目指す姿が映されている。企画をリードした(つづく)の東畑幸多さんに話を聞いた。

企業姿勢を示すという音楽の役割

『Blue』が起用されたHondaの新CM「MOVE」篇は、同社がグローバルで展開するために制作したものだ。映像には、道路の上や海の上などのさまざまな場所、そして時代を舞台に、動く14人の人々が登場する。彼らはおそらく何らかの乗り物に乗っているようだが、その肝心の乗り物は見えない。そして「free」と高らかに歌い上げる曲のサビ部分では、草原を駆け抜け自由に宙を舞う人が描かれる。

2017年からHondaの企業広告を担当している(つづく)の東畑幸多さんは、「HondaのCMにおいて楽曲は、企業姿勢やブランドを伝えるために重要なものだと考えています」と話す。たとえば、1999年からスタートした企業広告シリーズ「Do you have a HONDA?」では、ザ・ハイロウズの『日曜日よりの使者』を起用。

自律歩行人間型ロボット「P3」が地下鉄から上がってくる様子(「P3ロボット」篇)や、泥にはまったモトクロスバイクを立ち上げる再起の様子(「インザコーナー」篇)に甲本ヒロトによる独唱を重ね、Hondaの飽くなき挑戦者精神を鮮烈に印象付けた。

また東畑さんが企画に携わった、...

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