企業・ブランドを象徴するとともに、その時代の人々の心を捉えてきたCM音楽の数々。もしもそのCM音楽でプレイリストをつくるとしたら……?音楽が印象的な広告を手がけてきたクリエイター、音楽好きのクリエイターなど7人に答えてもらった。
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心に沁みるCM楽曲たち
沁みるCMソングプレイリストをつくってみました。
1曲目は初めて繰り返し視聴したCMソングを選択。前年よりさまざまな媒体で目にするようになったコーポレートメッセージ「一生も一瞬も美しく」を、パーソナルな側面から鮮やかに表現されていたCMも心に残っています。
2曲目は、宣伝を担当するようになった後、いつもチェックするようになった「カロリーメイト」のCMから選択させていただきました。声を繋ぐ演出がなんとも素晴らしく沁みます。
最後はBOSSから1本選び、私のベストCMソングとさせていただきました。
音楽が軸の名CM
▶1、少年期にはクロディーヌ・ロンジェのウィスパーボイスと歌詞の内容に毎日ドキドキだった。▶2、シルヴィー・バルタンが唄って踊ってくれちゃった『ワンサカ娘』はCM音楽の絶対値というか完全体というか、もう降参だった。▶3、そうCM音楽はジングルが基本だ。「リゲイン」のポジ歌詞とコマ抜きリップシンクロは秀逸で鮮烈で、凄すぎるよ、黒田秀樹さん。▶4、三橋美智也歌唱の長のどか閑な歌謡カントリーに「それにつけてもおやつはカール♪」を強引にかぶせたのは15秒CMの鏡だ。▶5、大好きな英国歌手ブラックの唄とPVを米国バーボンのCMにした野太さがすごい。と、音楽が軸のCMばかりでした。
生活者の日常や心情を可視化する曲
「燃焼系アミノ式」やきのこの「ホクト」、アフラックの「よ〜く考えよ〜お金は大事だよ〜♪」、「ポッキンナベイベー!」、Fit's「噛むとフニャン」など、いわゆるCMソングとして制作された、秀逸かつ時が経っても記憶に残り続けるCMソングを挙げるべきかすごく悩んだのですが……。
今回は、楽曲とCMとの相性や演出がぴったりの作品をリストアップしてみました。視聴者が単なる企業のプロモーションとしてCMを見るのではなく、音楽がつくり出す物語性や世界観が共感性を生み、見ている側がそれに没入したり共感したりしてしまう、そんな作品を選びました。
広告は、数字を追いやすい機能訴求や商品訴求だけでなく、一見間接的に見えてもブランドや商品の周辺にある生活者の日常や心情、情緒を可視化することで、永く選ばれる、永く愛される訴求ができるのだとこれらの作品を見ると改めて感じます。
「やられた」苦い思い出のあるあの曲
僕はCM大好き少年やったから、細胞の隅々まで小林亜星さんの曲がしみ込んでます。数ある名曲の中でプレイリストに入れたのは『夜がくる』。この曲を聴いて「大人の世界」の存在を子ども心に強く感じました。ウイスキーってどんな味がするんやろ……そんな僕も大人になって『ウイスキーが、お好きでしょ』、はい!大好きです!
「そうだ京都、行こう。」この曲は今や京都のテーマ曲。CM音楽が世界をつくってる。そして高校時代からのライバル黒田秀樹くんが作詞した「リゲイン」。僕はライバル製品を担当していて「この曲にやられた」という苦い思い出があります。CMが社会現象になる、その原動力がこの曲でした。
就活を思い出す、CMソング
1991年、「就職活動」という名の絶望的な活動に向かおうとしていた私の耳にテレビから流れてきた『あの鐘を鳴らすのはあなた』。それはリクルートの「就職ジャーナル」のCMでした。「たくさんのいい就職が、この国を変えていく。君がつくるジャパン。」というポジティブすぎるナレーションが響いたわけでもないのですが(むしろますます怖気づいたのですが)……でも、和田アキ子さんの歌声には何か心に迫るものがありました。
その後、電通という会社の内定者パーティに参加したところ、そこにはそのCMにノンタレの大学生として出演していた人たちが同じ内定者として勢揃いしていて、あれ?あのCMに出てた人たちだ!なんで?なんで?なんで?となったのですが(またもやますます怖気づいたのですが)、それはまた別の話かもしれません。CMソングと言われて最初に思い出したことだったので書きました。
今の作風に影響を与えた?衝撃のCM
▶1、原曲を聴いても、もはや“DoTheHustle!”が“細マッチョ!”じゃないことに違和感を覚えるレベル。▶2、CM用の替え歌だと思っていたら、オリジナルでびっくりした記憶があります。ブライアン・セッツァーが!▶3、子どもの頃、なんという華やかな世界があるのかと憧れました。▶4、この頃の任天堂のCMは大好きなものがたくさんありました。他も『ファイアーエムブレム』や『ファミコンウォーズ』のものなど選びきれないほどに。▶5、関西に配属になり朝のテレビでこれが「関西ローカルの世界……」と衝撃を受けたCM。ある意味、巡り巡って今の僕の作風に影響を……。
CM音楽の価値とは
初めて好きになったCMソングは『カローラⅡにのって』。車を楽しむ当時の軽やかな気分の歌詞に引き込まれた。チルな気分にマッチした「ほろよい」や芸人が歌う『明日があるさ』は、昔のヒット曲を時代に合った形にアレンジし共感を誘った。リゲイン『勇気のしるし』はもはや時代の象徴だった。手前味噌だが『いけいけわたし』は花王の本質的価値「洗浄力」で今の複雑な時代を気持ちよく生きることを歌った。広く深く届くCMソングは、企業(商品)価値と時代の気分の交わるところで共感を呼び、生きる人を元気付ける。これからもそんな歌をつくりたいし、そんな歌が聴きたい。
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