新たな手法を生み出したブランドムービー2001→2023
BMW「BMW Films」(2001)に始まるとされる、オンラインを主戦場とする「ブランドムービー」の歴史。20年以上に及ぶ変遷の中で、どのような手法や表現が生まれてきたのか。Whateverの川村真司さん、電通の佐藤雄介さん、PARTYの眞鍋海里さんの3人に、特に心に残ったものを挙げてもらいながら、約20年を振り返ってもらいました。
名作動画70本に学ぶブランドムービー変遷史2023
「Webムービー≒長尺」と思われていた中で、6秒でもなく、15秒でもなく、10秒シリーズという新しいフォーマットをつくり出した名作。尺が自由というWebの常識の逆をいき、あえて制約を設けていたことが、当時とても斬新に感じられました。一話一話がどれも面白く、憧れの仕事です。
「6秒動画≒強制視聴のストレートトーク」という、それまでの定石を裏切り、6秒でもエンタメできることを証明してみせた名作。新しいメディアや枠にこそ、新しいチャレンジの可能性が眠っているのだとワクワクしました。以降の短尺シリーズものに、影響を与えた気がします。
電通
コピーライター/CMプランナー
早坂尚樹
時代にサーフライドした“傑作”とは、少し違う。見た人に、描いたものの魅力がインセプションされ、長く脳裏に残り、忘れられない。そこまでいったら“名作”。と、定義すると、野上鉄晃監督による『夢』は、僕にとってそんな作品だ。長崎県南島原市を舞台にした約8分の物語。僕自身の作品で参加した映画祭で見て衝撃を受けた1本。こんなに豊かな物語が、この尺で成立している。そしてきちんと、ここに行ってみたいと思える。佐藤雅彦さんの言葉を借りれば、南島原市という商品に、物語によって「見えない衣」がかかっている。すごい。
電通
クリエーティブXディレクター
洞内広樹
広告なんて、誰も見たくない。いち早くスキップしたい。と今誰もが思っていることを、2015年の時点ですでに向き合って解決しているところがエグいです。また、この2015年はWebのバズムービー隆盛期とも言える年で、広告制作者がこぞって長尺ものを考えていました。そこにこの冷静な生活者視点、広告業界への示唆、未来への予見。いろいろ詰まっていてやっぱりエグいですね。
2015年から続く長尺バズムービーブームに新しい一手を打った本作。...