私的に好き、でいいのかも。
オタク気質じゃないことが、コンプレックスです。何の疑いもなく好きな物をまっすぐに好きと言えて、熱く語れる人はかっこいいし羨ましい。かたや自分には趣味らしい趣味もなく、推しらしい推しも特にない。「いちばん好きな◯◯」みたいな質問に答えることにも苦痛を感じて生きてきたので、コピーを3つ選んでよい今回は、いくらか気持ちが楽でした。
三井ホーム/1991年
〇C/伊藤公一
サントリー/1992年
〇C/秋山晶
サントリー/1994年
〇C/小野田隆雄
コピーにはどうしても人柄が出てしまいますし、名作コピーを選ぶのにも、どうしても人柄が出てしまうと思います。でも、コピーライターであるがゆえに、「他の人がよく選んでいるものを選ぶと面白くないんじゃ?」とか、「王道や直球ではなく、ちょっとハズした方が通っぽく見えるんじゃ?」とか、余計なことを考えてしまいそうになります。せっかくいただいた機会ですので、正直に好きなコピーをお伝えしたい。その一心で、手元にあるコピー年鑑すべてに目を通す作業に取り組んでみました。部分的に見返すことはたまにあっても、総ざらいする機会などコピーライター歴28年の私としては皆無。だからこそ、写経していた新人時代以来、初めてコピーの海に身を委ねてみるという経験に興味がありました。結果、あの頃とは精度が違う「いいコピーに向かうための羅針盤」のようなものを…