私的に好き、でいいのかも。
オタク気質じゃないことが、コンプレックスです。何の疑いもなく好きな物をまっすぐに好きと言えて、熱く語れる人はかっこいいし羨ましい。かたや自分には趣味らしい趣味もなく、推しらしい推しも特にない。「いちばん好きな◯◯」みたいな質問に答えることにも苦痛を感じて生きてきたので、コピーを3つ選んでよい今回は、いくらか気持ちが楽でした。
大成建設/1992年
〇C/安藤寛志
資生堂/2006年
〇C/国井美果
小学館/2011年
〇C/道山智之
妄想が好きだ。妄想の中の自分はいつも驚くようなコピーを書いているからだ。そう、妄想の中では人様が書いた名作も自分が書いたことになっていた。これまでの広告人生、師匠と呼べる人はひとりもいない。もちろん感謝している人は数えきれないほどいる。思い返せば30代半ばまで不遇な時代を過ごしてきた。企画やコピーを書いても会議室の端に追いやられる毎日。時には裏紙としてメモに使われることもあった。はじめて自分の考えた企画がCMとなり海外賞までいただいた。嬉しかった。でもクレジットのどこにも自分の名前はなかった。何をやってもうまくいかない。そのうち人の顔色ばかりうかがうようになっていた。人がいいと言うものがいい。自分の意見など何もない。そんな自分に嫌気がさした時、逃げ出す先は...