みんなに、愛されてる?
この業界に入ってから好きになったコピーはたくさんあるけれど、それらはコピーライターとして「学ぶ」という意識もあって好きになったもので、もちろんそれは悪いことではないのだが、職業意識を持って感銘を受けたコピーを「名作」として選ぼうと思った時に、ふと10代の僕が疑わしそうな目でじっと40代の僕を見ているのに気付く。
宝島社/2006年
〇C/前田知巳
キユーピー/2002年
〇C/秋山晶
ストライプインターナショナル/2019年
〇C/児島令子
「あんた、今日とくダネで小倉さんが紹介してた広告知ってるか?お母さんめちゃくちゃ感動したわ。コピーライターってすごいなぁ」という電話が実家からかかってきたのは、大学4年生のときだった。当時京都で一人暮らしをしていた私は、ギタリストになるという夢を諦め、「やっぱりコピーライターになりたいので就職浪人させてください!」と両親に宣言し、宣伝会議の養成講座に通いはじめていた。
それは、宝島社の「団塊は、資源です。」という新聞広告だった。2006年当時は、翌年の団塊の世代の大量退職によって社会はガタガタになるんじゃないか?というネガティブな論調が支配していて、ニュースはどことなく暗いムード。そんな世の中に対して「いや、あれだけパワフルな団塊の世代は、きっとタダでは退場しない。きっとなにかデカいことを...