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デジタルファブリケーションで広がるデザインの可能性

デジタルファブリケーションからローカルの木工技術活用へと発展

平本知樹

3Dプリンティングをはじめ、デジタルデータをもとにした創作技術「デジタルファブリケーション」。これらは広告・デザイン領域の可能性をいかに広げていくのか。TOKYO2020の表彰台プロジェクトなどを手がけた、平本知樹さんが解説する。

SUNY Buffaloが製作した加工データをAR画像を通してチェーンソーで加工していく様子。

ローカルマテリアル活用へと発展

前号では、世界中に広がるデジタルファブリケーション工房をネットワークで繋ぎ、必要な場所の近くで制作を行う「グローバルネットワーク」と「ローカルファブリケーション」について書きました。ロジスティクスの簡略化による配送費の削減や工程表の短縮などプロジェクトに与える効果についても記述しましたが、デジタルファブリケーション技術を取り入れることのメリットはそれだけではありません。

岐阜県飛騨市にある「FabCafe Hida」がコーディネートするニューヨーク州立大学バッファロー校(SUNY Buffalo)のワークショップ(2022年4月開催)は、さらに踏み込んだものとなっています。そのワークショップは次の4つのステップにより構成されています。①飛騨の広葉樹を3Dスキャンする。②3Dスキャンデータを共有し、SUNY Buffaloがパビリオンの設計を行う。③FabCafe Hidaと地元の木工所がAR技術を用いて、丸太の有機的な形状を活かした加工を行う。④加工の可否、精度などをSUNY Buffaloにフィードバックして設計のアップデートを行う。

このようにグローバルネットワークと...

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