3Dプリンティングをはじめ、デジタルデータをもとにした創作技術「デジタルファブリケーション」。これらは広告・デザイン領域の可能性をいかに広げていくのか。TOKYO2020の表彰台プロジェクトなどを手がけた、平本知樹さんが解説する。

青色のルックの会場に置かれた表彰台。
3Dプリンティングと「色」の問題
今回のテーマは、3Dプリンティングの中でもあまり扱われることのない、色について。TOKYO2020大会のオリンピック表彰台プロジェクトでは、P&Gがプロジェクトオーナーとなり、回収された製品の容器からプラスチック材料を生成し、3Dプリンティングすることで表彰台を製作しました。
その中の大きなハードルのひとつに色がありました。大会エンブレムは藍色なので、表彰式も藍色でいこうとなりました。表彰台を藍色にした理由としては、エンブレムに合わせたというだけではなく、会場ごとにルック(テーマカラー)が違うことや、表彰台が置かれる背景色が競技場によって緑(芝生)、赤茶(陸上トラック)、グレー(スケートボード)など多岐にわたるので、どんな環境でも色合わせしやすい装置として藍色を選定しました。
つまり、藍色のリサイクルプラスチック材料をつくりたいのですが、回収された製品の容器は色とりどりです。それらを混ぜると藍色になるはずもなく、回収材料の色になります。一般的にプラスチック製品をつくるときのバージン材(プラスチックの原材料)は...