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デジタルファブリケーションで広がるデザインの可能性

宇宙空間における3Dプリンティング

平本知樹

3Dプリンティングをはじめ、デジタルデータをもとにした創作技術「デジタルファブリケーション」。これらは広告・デザイン領域の可能性をいかに広げていくのか。TOKYO2020の表彰台プロジェクトなどを手がけた、平本知樹さんが解説する。

宇宙空間における3Dプリンティング

インターネットなどがそうであったように、いつの時代も多くの技術が軍事産業や医療分野などで発展を遂げた後、民生化され普及してきました。ただ、2020年代においては、宇宙産業がその役割を担っていくかもしれません。宇宙ステーションは地球から400キロ以上離れており、その運搬コストが大きいこと。加えて使用可能な資源(材料)が限られ、有限な環境の中で循環させる必要があることなどは今まさに地球で起こっている問題と同じです。これらを解決するために使われている技術(機械)のひとつが3Dプリンティングです。

ISS(国際宇宙ステーション)における3Dプリンタは「Refabricator」と呼ばれ、絶え間なく変化する宇宙空間における状況に適応したプロダクトを有限な素材をもとに製造する取り組みが行われています。3Dプリント技術を利用した宇宙空間での製造(ISM=In-Space Manufacturing)は、無重力の環境下であり地球と条件が違うという課題がありますが、2016年ごろから実証を繰り返し、現在ではISSで稼働しています。

宇宙空間で最初にレンチ(ボルトを締める工具)が3Dプリントされてから、アンテナ部品、宇宙ステーションの酸素生成システムの部品や、自由飛行ロボット...

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