クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に活かしているのか。今回は『こども六法』(弘文堂)などのイラストを手がけるイラストレーターの伊藤ハムスターさんです。仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。

『かってにシロクマ』
相原コージ(著)
(双葉社)
最初に読んだのは小学生くらいの時で父からのプレゼントでした(今思うとすごいチョイス……)。生き生きした動物たちの絵、下ネタ多めのナンセンスギャグ、どれも衝撃的で、でも何よりキャラクターたちの会話が好きでした。
一匹だけ体毛の色が違うシロクマ(主人公)、要領が悪い兄をバカにしつつも仲がいい弟熊、どうしても不出来な兄をかまってしまう母熊、シロクマの恋人のヤマネ(異種間恋愛)、二匹の恋愛を見守る友人のモモンガ……と、非常に人間的な登場動物が繰り広げる生々しい会話がたまらないのです。
私の絵は、動物たちが人間の代わりに喋ったり生活したりすることが多いのですが、その影響はこの作品からかもしれません。
そして後半のショッキングな展開!勇気、友情、恋愛、家族愛、隣人愛、すべてを網羅した名作です。将来子どもに「なぜ人を殺してはいけないか」と問われたら、無言でこの漫画を渡そうと今から思っております。