IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

Book & Magazines

画家の平松麻さんがおすすめする4冊の本

平松 麻

クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に活かしているのか。今回は、画家の平松麻さんです。仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。

『猫の目』

メビウス、アレハンドロ・ホドロフスキー(著)、原正人(訳)
(竹書房)

痺れたいときは本棚から『猫の目』を取り出す。削がれた台詞と、暗闇をインクにして描いたかのような線画に触れさえすれば、いつでもゾクゾクできる。

映画監督のアレハンドロ・ホドロフスキーと、フレンチコミックの巨匠メビウスによる共作のバンドデシネ。バンドデシネと言っても、1ページ1カットずつの構成で、色彩も黄黒白の3色のみ。廃墟に立つ男と、襲われる猫と、2つの眼玉をつかんで飛ぶ鷲、この3者が交差するいっとき、残酷な時空が出現してゾッとする。それを目の当たりにしながらも、わたしは高揚と期待を感じずにはいられない。本を持つ手の血管がピクッと膨らんだ。描かれた世界は無音でどこか終焉を感じさせるのに、男と鷲だけはドクドク鼓動を高めて新生していくようで。

言葉と絵がお互いをバッチリ照射し合うからこそ、照らし出される路がある。その路を読者として歩ける愉悦といったらこの上ない。

メビウスが1カット描きあげるごとにホドロフスキーに電話をかけ、往復100キロのドライブで絵を見に来させたらしい。奇才同士、自由な才能に酔いしれて精神的な快感を共有したとき、こんな強烈な1冊ができるのか!と昂奮する。

あと58%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

Book & Magazines の記事一覧

画家の平松麻さんがおすすめする4冊の本(この記事です)
『フリースタイルな僧侶たち』編集長の稲田ズイキさんがおすすめする4冊の本
元バスケットボール選手の石崎巧さんがおすすめする4冊の本
cineca 土谷未央さんがおすすめする4冊の本
matohu 堀畑裕之さんがおすすめする4冊の本
寺尾紗穂さんがおすすめする4冊の本

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
ブレーンTopへ戻る