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作詞家のhotaruさんがおすすめする4冊の本

hotaru

クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に活かしているのか。今回は作詞家のhotaruさんに仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。

『夜露死苦現代詩』

都築響一(著)
(ちくま文庫)

職業柄、ユニークな表現には目ざとい。自分以外の誰かが書いた歌詞、ユニークな広告のキャッチコピー、小説の一節など、嫉妬まじりにその言葉を分析しては、なるほどねなどといい気になったりするのだが、時折死角からとんでもないパンチが飛んでくることもある。家族や友人が思いがけない鋭い一言を放って驚いたなんてことは多くの人が一度は経験しているだろう。

この本で主に取り上げている言葉はその最たるものだ。死刑囚の俳句やエロサイトのコピー、暴走族が特攻服に入れる刺繍など、日の当たらない場所、評価の俎上ではない場所にある痛烈な言葉にスポットを当てている。まさに言葉の地下格闘場。楽器と違い、扱うことに必要な技術が義務教育で得られる言葉だからこそ可能になるパンチラインは、仕事やオーダーという枠の中にいた僕を大いに揺さぶった。

初期衝動を忘れてはいないか。何者でもなかった思春期、作品とは到底呼べない乱文を思いのままに書きなぐった自分は今もいるか。そう自問しては、ふつふつと胸の奥底を滾(たぎ)らせずにはいられなかった。今は立場もシチュエーションも違うじゃないかとは言うなかれ。言葉であるならば体裁は関係ない、どれだけの思いを込められるかがすべてなのだということこそを本書に訴えかけられた。

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