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好調企業・ブランドの勢いを加速させるクリエイティブ

どんなにいい商品でも 知られなければ意味がない

にしたんクリニック

「♪たん、たん、にしたんクリニック!」。錦野旦さんがコーチとなり、3時のヒロインの3人がダンサーとしてフラメンコを披露する、にしたんクリニックのテレビCMが今年の5月に話題を集めた。その名称を頭から離れなくするこのCMはどのようにして生まれたのだろうか。

錦野旦さんと3時のヒロインの3人を起用し、渋谷駅で展開したOOH。2021年6月7日撮影。

テーマを決めて、調理はクリエイターに任せる

「僕の中でこんなイメージのCMにしたいというのを中尾孝年さんに話すところから企画はいつも始まります。それを中尾さんが2倍も3倍も良い形に仕上げて持ってきてくれる。そういう信頼関係があったからこそ実現できたCMばかりです」と話すのはエクスコムグローバル 代表取締役社長で、東京都内でPCR検査や美白・美肌の美容点滴などを行う「にしたんクリニック」の立ち上げを支援した西村誠司さんだ。

錦野旦さんと3時のヒロインの3人が出演する最新のテレビCMも西村さんのアイデアがスタートだ。「錦野さんが自身のヒット曲『空に太陽がある限り』を歌いながら、踊っているのが面白いんじゃないかという話をいただいたんです。にしたんクリニックの名前を歌にのせて、覚えてもらいたいと。それを受けて、どうすれば幅広い年齢層の人に興味を持ってもらえるだろうか、より面白くなるだろうかと考えていきました。西村社長も僕の企画を楽しみにしてくれていて、企画を持っていくとその場で判断してくれるんです」(電通 クリエイティブディレクター 中尾孝年さん)。

西村さんは、中尾さんとの関係性について、『料理の鉄人』(フジテレビ系)に例えて話す。決められたテーマ(食材)を使って調理し、その料理を審査判定するという番組内容は、自身とクリエイターとの関係と重なるという。このテーマが明確に絞られていることが、印象に残るCMが完成する要因のひとつ。錦野さん出演のCMで伝えるべきは「にしたん」の4文字だけだった。

「僕はテーマを決めて、用意する役割。すると中尾さんが『これがメインだったら、こういう調理方法がいいですよ』と言って走りだしてくれるんです。メインの食材を変えるわけじゃないから、僕の意図はそのままに、想像もできなかった料理ができあがります」。

考えたことが実現するのを早く見てみたい

「フラメンコ」篇は3本目のテレビCMで、1本目の「知人・友人」篇の放送を開始したのは2020年9月28日。西村さんがPCR検査事業を思いついたのが7月20日で、その約1カ月後の8月24日に事業を、そこからさらに約1カ月後にはCMの放送を開始した。「一代でこれだけの会社を築けたのは、実行力や実現力が圧倒的だったから。僕らは社外パートナーとしてその実行力やスピードに何とかついていくことが一番大事かなと思います」(中尾さん)。

「PCR検査事業を始めるときも広告をするときも同じなんですが、普通は1億の広告費をかけたらそれに見合う利益を求める。でも僕は、単純に考えたことが実現するのを早く見てみたい。世の中に出したらリアクションがある、これが面白い。インパクトがあって面白いものであれば、多分...

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