岩手を代表する伝統工芸・南部鉄器のブランドを展開するタヤマスタジオ。代表の田山貴紘さんは、伝統が伝統であり続けるためには社会との対話が必要と語る。

オリジナルブランドの〈kanakeno〉。

南部鉄器はさまざまな工程を経てつくられる。

田山さんは職人の育成にも力を入れている。
伝統工芸と社会との対話
岩手県出身、東京での営業経験を経て2013年にタヤマスタジオを設立した田山貴紘さん。子どもの頃から職人として働く父の姿を通して、伝統という価値と職人の収入にはギャップがあることを感覚的にわかっていたと語る。「工業製品が価値をつくろうと苦心しているのに対し、伝統工芸品には歴史と文化という価値がすでに蓄積されています。それなのに、社会との対話の機会が少なく、その価値を十分に伝えられていない。この課題解決に、営業の経験が活きるのではないかと考えました」。
“職人+商人”のスタンスで事業を構想するなかで田山さん...