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デザインの見方

『ちびまる子ちゃん』の扉絵が教えてくれたデザインの面白さ

鈴木奈々瀬

さくらももこ『ちびまる子ちゃん』(集英社)
©さくらプロダクション

北海道のいなか町で育ち、大学時代は山形で過ごしました。いまライトパブリシティでアートディレクターとして仕事をしていますが、就職で東京に出てくるまで、広告のポスターを生活の中で見ることはほとんどありませんでした。それ以前に、自分が育った環境にはエンターテインメントの施設などなく、子どもの頃の楽しみと言えば、漫画雑誌『りぼん』を買って読んだり、真似してイラストを描くことでした。

中でも好きだったのが、さくらももこさんの『ちびまる子ちゃん』。私が小学生のとき、すでにものすごい人気がありました。漫画はもちろんなのですが、私が毎回楽しみにしていたのが、『ちびまる子ちゃん』の扉絵です。当時の少女漫画には珍しく、曼荼羅やモザイクアート、タペストリーを思わせる絵で、左右、前後対象に不思議な生物やものが配置されていて、とてもグラフィカルだったんです。漫画以上に扉絵に対する熱量を感じるくらい、毎回凝ったものでした。

私はこの扉絵が好きで、いつも真似して描いていました。色の使い方やものの配置など、絵として美しく見えるルールのようなものは、この頃、扉絵を模写したことで学んだことが多かったように思います …

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