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デザインの見方

いまなお残る、デザインの初期衝動

小熊千佳子

小熊さんの家に飾られているコム・デ・ギャルソンのDM。

  • AD/井上嗣也
  • 撮影/ティモシー グリーンフィールド=サンダース

今はデザイナーとして働いている私ですが、学生時代は日大藝術学部の絵画コースでファインアートや油絵を学んでいました。当時からデザインにも興味があったので、デザイン科の授業にもぐりこんでいたんです。その頃に大学の廊下で出会ったのが、コム・デ・ギャルソンのB1サイズのポスターです。DMとして送られてきたもので、折り目がついたまま大学の掲示板に貼られていました。

モデルは、コンテンポラリーダンサーのマース・カニンガム。彼の足の裏がドーンと出ていて、薄暗い中に本人の顔が見えます。ダンサーをモデルにするならば、通常美しい動きや立ち姿に注目するところですが、これはカニンガムが人生で刻んできた部位、足をクローズアップしている。そのことに驚きつつも、当時すでに高齢で、酷使してきたであろうボロボロのカニンガムの足の裏がとても美しく感じました。あまりにも衝撃を受けて、職員室に「掲示期間が終わったら、このポスターをください!」とお願いしに行き、貰い受けました。以来、額縁に入れて家に飾っています …

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