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デザインの見方

自分の作りたいものを衝動のままに作る。

川腰和徳(電通)

1152ページ、重量約6Kgある『大竹伸朗 全景 1955-2006』(grambooks)。

中学時代に現代美術好きの親友が「こういう人がいるんだよ」と紹介してくれたのが、アーティスト大竹伸朗さん。当時、大竹さんの展覧会は僕が住んでいた鳥取では開催されず、作品の現物を見ることはできませんでした。初めて実物を目にしたのは、2006年10月に東京都現代美術館で行われた大回顧展「大竹伸朗 全景 1955-2006」。例の親友に誘われて美術館を訪れました。ちょうど多摩美術大学に在学中のことで、作品の迫力にひたすら圧倒され続けました。

大竹さんの作品といえば、その圧倒的な量。例えば大回顧展をカバーした作品集『大竹伸朗1955-2006』には、僕が見た展覧会で展示された全作品が収録されているのですが、本の重量がなんと約6kg。とてつもない物量の作品集です。1人で作っているとは思えない量だし、その作品に一貫性がないため、1人のアーティストの作品集には見えません。言い換えれば、大竹さんにはそれだけ表現の幅がある証拠だと思います。

そして、そこには作品を作るときの勘や、判断力の速さを感じます。頭の中のイメージを感覚的に手が具現化しているのではないかなと …

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